「いつまで見てるの」「もう止めなさい」はNG

Kが産まれたばかりの頃に先輩パパに勧められて、積ん読になっていた本がある。1967年に初版が発売された『育児の百科』。刊行後、幾度も改訂されたロングセラーで、手元にあるのは2009年の最新版『定本 育児の百科』(岩波文庫)。下巻に次のような記述があった。

〈このごろの子どもにとって、テレビは生活の一部分になっている〉
〈テレビは現実への窓である。この窓をしめて、それにかわるものを親があたえるのには、よほどの決心がいる〉

テレビをYouTubeに置き換えれば、まるっきり令和の我が家だ。親は、世代を超えて新たなメディアと子どもとの付き合い方に頭を悩ませ続けてきたのだろう。そして、いま。子どもとYouTubeの関係を危惧しない親の方が少ないのではないか。

「子どもが、少しずつ大人になってくるといい子でいたいとか、お父さん、お母さんに好かれたいという気持ちが出てきて、様々な欲求を我慢できるようになります。でも、子ども――とくに3歳の頃は、こうした方がいい、という考えよりも、こうしたい、という気持ちの方が圧倒的に強い。

だからといって、子どもの欲求をすべて叶えてあげればいいという話ではありません。やはり大人は、きちんと言うべきです。『Kはそうしたいかもしれないけど、お父さんはこう思うよ』と。もちろん子どもが1人でYouTubeをずっと見ている状況を見たら、みんな不安に感じるはずです。情報を一方的に浴びせ続けられるわけですから。

それが、1時間、2時間も続くとコミュニケーションが閉ざされて、思考停止してしまうのではないかと心配になってしまうのはムリもありません。でも、こうしたい、という強い欲求を持つ子に対して『いつまで見てるの?』『もう止めなさい』という言葉は逆効果になってしまうでしょうね」

宮里暁美さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
宮里暁美さん