どうしても「仕事が休めない」ときの対処法

私の職場ではプロジェクトごとにスケジュールがあるが、その日のミーティングを後日にずらすなどして対処する。誰かが急に休みを取っても別の人が引き継げるようにシフトを組んでいることも多いため、子どもの看病のために1日休みを取ることは問題ない。

ただ、締め切りが迫っており、しかもどうしても代えが利かない、あるいは、どうしても自分でその部分をやり遂げたいときなどもある。そういうときは少し無理をしてでも子どもが寝ている間に、あるいはパートナーが帰宅後に看病をバトンタッチしてもらい、半日分だけ在宅で仕事をし、残りの半日分は一時的育児休業給付を受給することもよくある。

実際のところ、他の子育て世帯でも在宅で可能な仕事をしている場合に、自宅で病児の面倒を見ながら仕事をこなそうとする人は少なからずいるようだ。先ほど紹介した、「自宅で病気の子どもの面倒を見る」ことを一言で言い表せる動詞vabba(ヴァッバ)と「仕事をする」という一般動詞jobba(ヨッバ)を組み合わせた造語vobba(ヴォッバ)が2011年に登場しスウェーデン語の新語リストに加わった。「自宅で病気の子どもの面倒を見ながら仕事をする」という意味の動詞だ。

子どもを抱きながら仕事をする男性
写真=iStock.com/dusanpetkovic
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ただ、この言葉は一般的な単語というよりは、本当は仕事がしたい、あるいはしなければいけないのに子どもが風邪をひいたので仕方なく看病しながら無理に仕事をするという、本来は無理なことをあえてやっている姿を自嘲したり、そうしている他人を批判的に描写したりするときに使われている。

無理して仕事をするのは子供にも職場にも悪影響

そういえば、私の息子と同じくらいの年の子どもが2人いるコンサル企業のかつての上司は、私が「今日は子どもが熱を出したので出勤できない」と伝えると、「了解。無理に自宅で仕事をする必要はないぞ。無理するとケアが必要な子どもにとっても良くないし、仕事の効率も下がるから職場のためにもならない。休むときはしっかり休んだほうがよい」とよく返事してくれた。この上司は子育てする親の気持ちを理解してくれるうえ、私が無理しがちだと感じたのか、先手を取ってヴォッバをするなと念を押してくれたのだ。

子どもを持つ社員に対して理解があるのは、この上司に限ったことではない。私が働く銀行SEBの今の上司は、私よりも数歳若く子どもがいないが、私が家族の健康を理由にその日仕事ができないことを伝えると、「いまは家族のことを第一に考えて。仕事はその後でいいから」と返事が返ってくる。同じような理由でチームの誰かが仕事を休まなければならないときは、その日のミーティングを延期したり、締め切りの迫っている仕事の場合は私たち同僚が代わりに入って仕事を引き継いだりする。みんな「お互いさま」と思っているから、誰も嫌な顔などしない。