男性は日本の3倍以上、家事と育児に時間をかける
私の職場の男性の同僚も、家では当然のように家事や育児を分担しており、子どもと遊んでいるときの出来事や子育ての悩みなどが、職場のランチのときに話題になったりする。
スウェーデン統計中央庁は10年ごとにスウェーデンに住む人々が家事に費やす時間を調査している。性別、年齢、家族構成、就業状態、所得、勤務先の規模などに細かく分けながら、人々が炊事や掃除・洗濯、買い物、子どもの世話などの無償家事労働にどれだけの時間を日々費やしているかを調べたものだ。最新の調査である2021年の結果を見てみると、子育て夫婦の男性、女性それぞれの家事・育児に費やす時間(1日あたり、週7日間の平均)は図表1の通りとなっている。
合計すると女性は8時間40分、男性は6時間43分となり(週末も含んだ平均であることに注意)、男性もかなりの時間を家事・育児に費やしていることが分かる。
ちなみに、21年の社会生活基本調査によると、日本で6歳未満の子どもを持つ共働き家庭の育児を含む家事関連時間は女性が6時間33分、男性が1時間55分(夫のみが働いている世帯は女性9時間24分、男性1時間47分)。
日本の方にとって、スウェーデンの数字は驚きかもしれない。しかし、スウェーデンで調査結果が発表されると、メディアの報道や世論は常に「いまだに家事・育児の多くの割合を女性が担っており、さらなる改善が求められる」という厳しい反応をする。
パスタとミートソースのような一品料理が定番
日本で男性の家事が話題になると、どちらかというと「男性が女性の家事労働をサポートする(手伝う)」という話になりがちだ。しかし、スウェーデンでは家事労働は分担するのが当然で、どちらかがどちらかを「サポート」するものだとは考えられていない。これまで例を挙げてきたように、基本的にお互いの都合に合わせてどちらかがメインとなって食事を用意したり、子どもの面倒を見たりしている。
ちなみに夕食の準備をする、といっても、手の込んだ品数の多い食事を時間をかけて作っているというイメージは当てはまらない。共働き世帯では、その日の仕事を終え、2人とも疲れている。だから、食事の準備には時間と労力を極力かけない。パスタとミートソースを作ってそれを皿に盛るだけのような一品料理が典型的だ(余力があればキュウリやトマトを切ってサラダを作る)。
ある日に多めに作って、それを冷蔵庫や冷凍庫で保存しながら、数日にわたってレンジで加熱しながら食べることも一般的だ。先ほど挙げた息子のクラスメートの家族のように、ホットドッグのような軽食で済ませ、寝る前にオープンサンドイッチのような夜食を食べることも珍しくない。ピザやすしなどをテイクアウトして自宅で食べることもある。昼食は職場や学校、保育所でしっかり食べているのだから、夕食は軽くても良いという考えだ。



