「公募制推薦」に向いている生徒の特徴

本来であれば、「総合型選抜」は一般入試の括りですが、本書では、一般的な大学受験のイメージと合わせるために「学力試験のみで受験できる入試」を一般入試、「特殊な準備や試験のある入試」を推薦入試として話を進めさせていただきます。

大学受験が、大きく分けると「一般入試」「推薦入試」に二分されるのは昔も今も同じです。しかし、昨今は推薦入試がどんどん重視されるようになり、推薦入試は枠が増えるだけでなく受験パターンの多様化も進んでいます。

推薦入試は2021年度より、「AO入試」という名称が「総合型選抜」へと改められ、高校ごとに枠を設けられている「指定校推薦」も現存しています。さらに今では「公募制推薦」(英検、評点、スポーツなど、必須条件を満たしていれば受験資格を得られるもの)も登場しています。簡単に言うと、公募制推薦は総合型選抜と指定校推薦の中間にあるような立ち位置で、成績が非常にいい場合は指定校推薦、成績もそれなりに良くてそれ以外の活動もしているようなバランスのいいタイプが公募制推薦で進学する印象があります。成績が学年で20~30番程度で、部活でキャプテンをしているような子は、まさに公募制推薦向きと言えるでしょう。

少子化でも競争率は上がり続けている

ただし、全大学が3種類全ての推薦入試を取り入れているわけではありません。

菅澤孝平『親の過干渉こそ最強の大学受験対策である。』(日刊現代)
菅澤孝平『親の過干渉こそ最強の大学受験対策である。』(日刊現代)

感覚的には、一般入試:推薦入試の比率が以前は6:4だったのに対して、2024年現在は4:6と逆転しているようなイメージです。

慶應義塾大学の経済学部は、一般入試に特化しているため「学力が高い人が集まる」「だから大手企業への就職率が非常に高い」と言われていたこともありました。しかし、2025年度から指定校入試を採用しているため、過去の話となるのは時間の問題でしょう。

推薦入試の比重が上がれば上がるほど、何が生じるか予想できた方もいることと思いますが、つまり昨今の一般入試は、枠が大きく狭まっているのです。

「子どもの数が減っている分、一般入試で求められる学力は年々下がっているのでは」と思ったら大間違いです。

一般入試の競争率は、むしろ年を追うごとに上がり続けているのです。