家の中で一番多く過ごす場所は

【図表】家の中で一番多くいる場所
出典=博報堂生活総合研究所「子ども調査」

日常的に過ごす場所にも変化が見られました。1997年、2007年、2017年の10歳から14歳を調査した「子ども調査」によると、子どもがリビングで過ごす時間がずいぶん長くなっているようです。

「家の中で一番多くいる場所」として「自分の部屋」と答えた子どもの割合は1997年には32.3%でしたが、2017年には11.5%にまで減少。一方で、「リビング」と答えた割合は56.4%→83.6%に増えています。

この背景には、「子どもはリビングで勉強させた方が教育効果が高い」という考え方(いわゆる「リビング学習」)が広がり、学校から帰ってきた子どもがリビングで過ごすことが習慣になっている傾向に加え、住環境の変化も挙げられるでしょう。15.3%→20.5%と5ポイント程度ではありますが、「自分専用の子ども部屋がない」と答える子どもの割合が増加傾向にあるのです。

大手住宅メーカーの方に伺ったところによると、最近の住宅購入希望者は口をそろえて「リビングなどの共有スペースを広く取りたい」とリクエストされるそうです。子どもにとっても、狭くてさみしい自分の部屋にこもるより、広くて快適なリビング空間(しかも反抗したくなるような親もいない)で過ごしたいと感じるのも自然なことなのでしょう。

新しいデバイスの影響が見られるZ家族

こうした変化に対して「常に同じスペースにいて息が詰まるのではないか」「そんなに家族で話すことがあるのか」と思った方もいるかもしれません。この疑問に答えるには、スマートフォンやタブレットといったパーソナルなメディアの普及によって「家族の過ごし方」も変化しつつあることがポイントになります。

博報堂生活総合研究所『Z家族 データが示す「若者と親」の近すぎる関係』(光文社新書)
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スマホ等をそれぞれが持つようになったことで、リビングに家族で集っていてもひとりでポッドキャストを聴いたりゲームをしたり、動画や音楽を楽しんだりできるようになりました。

同じ空間にいても、それぞれ別のことをする。これは、ファミレスで若者たちが「同じ場所にいるのに各々おのおのスマホを見ている」状況を思い出して頂くと理解しやすいでしょう。

「リビングに集う」といっても膝を突き合わせておしゃべりし続けるわけではなく(そのような家族もいるかもしれませんが)、各々好きなことをしているからこそ気疲れもしないのです。

実際に家族世帯で注目されているのが、「オープンイヤー型イヤホン」と呼ばれるタイプの製品です。耳をふさがない設計で、音楽や音声コンテンツを楽しみながらも周囲の音に気づけるという特徴があります。もともとはランニングなどのスポーツ用途として広まりましたが、最近では「子どもが話しかけてきたときにもすぐに気づくことができる」と、家庭内でも活用されるようになってきました。

新しいデバイスの登場により、物理的に家族と一緒にいながらも、心理的には「ひとりの世界」に入ることもできる。そんな、これまでにはなかった新しいライフスタイルが親子ともに広がりつつあるようです。