「教室の盗撮」防げるか
同様の問題として、愛知県などで教員らが子どもを盗撮し、SNSで画像を共有した事件(※5)など、学校内における盗撮をめぐる報道が絶えない。では、教室にカメラを置けば、こうした盗撮の抑止になるか。
一面では、なるだろう。盗撮のためにカメラやスマートフォン、タブレットなどを設置し、回収する動きが撮影されることは避けたいという心理が生まれることが想像できる。
さらに、これまでそうした盗撮が行われていたのは、公立学校では普通教室が体操着に着替えるための更衣室として運用されているところがまだまだあるという事情が大きい。しかし、カメラを普通教室に設置することになれば、普通教室を更衣室として使い続けることは難しくなる。そうすれば、盗撮をしにくくなるからだ。他方で、これまでも教室以外の場所で盗撮があったこともあるが、それは普通教室へのカメラ設置では抑止できない。
なお、普通教室が更衣室として運用されている状況は、カメラ導入において大きな障害となるだろう。着替えるときだけ撮影を中止するルールを作ることは可能だが、一体誰が撮影を止め、また着替えが終わったら撮影を開始するのか。それを担当する教職員には負担となる。その撮影停止・再開をうっかり忘れてしまった場合の責任問題も発生する。さらに言えば、撮影を止めている間も「死角」になる。
設置で生まれる問題は無視できない
このように、普通教室へのカメラ設置をめぐっては賛否両論あるものの、カメラ設置のメリットを重視する立場においても、かかるコスト、生じうる人権侵害や新たに生じる問題を無視してカメラ設置を拙速に進めるのは難しいだろう。
毎日新聞の47都道府県、20政令指定都市に対する調査では、普通教室へのカメラの設置については、「84%にあたる56教委が『検討していない』」と回答したという。阿部俊子文部科学大臣も、「日常活動が全て録画される是非を踏まえると、広く推奨することにはさまざまな議論がある」と積極的ではない(※6)。
カメラ設置を進めるところでは、設置の効果はもちろんだけれども、かかる数々の問題や負担をどのように克服するのか、あるいは克服は難しいのかを、広く説明することが求められる。
※5 小川たまか「小学校教師が児童を盗撮しSNSグループで共有 これまでの報道でわかっていること #エキスパートトピ」 Yahoo!ニュース、2025年6月27日
※6 47ニュース「【速報】教室の防犯カメラ設置『議論ある』と文科相」2025年7月1日


