「お尋ねします。正三角形は二等辺三角形ですか?」

生活言語や国語では、「正三角形は二等辺三角形ではない」というのが通常の解釈だろうと思います。けれども、算数では「正三角形は二等辺三角形でもある」が正解です。3つの辺の長さが等しいなら、当然そのうちの2つの辺の長さは等しく、2つの辺の長さが等しい三角形は二等辺三角形だからです。

『プレジデントFamily2025夏号』(プレジデント社)
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いったい、数学はどうしてそんな変なルールを作っているのでしょうか。理由は簡単です。定理と証明をなるべくシンプルに(きれいに)整理するためです。

たとえば、二等辺三角形に関する重要な定理を発見したとしましょう。それを証明すれば、ただちにその定理が正三角形にもあてはまることが担保されたら、正三角形についても、その重要な定理があてはまることを証明する手間が省けます。でも、もし、「正三角形は二等辺三角形である」ではなく、正三角形と二等辺三角形が別々の図形であると定義されていたら(そんなことはありえませんが)、二等辺三角形で証明した定理を、正三角形でも証明しなくてはならなくなります。

「どの」もそうです。「どの組み合わせ」についても成り立っていたら、「これについて成り立っている」、「あれについても成り立っている」と列挙しなくて済みます。数学にとっては「どの」は、話をシンプルにするための必須の言葉なのです。