「物流の側面から企業の成長を支援するロジスティクス・イノベーションパートナーでありたい」――そう語るのは、佐川グローバルロジスティクスの坂上公彦社長だ。物流診断サービス「ロジスティクス・カルテ(※)」を課題解決への入り口として、豊富なソリューションを展開する同社。現状や今後の見通しを、坂上社長、コンサルティング部の佐々木朋幸氏に聞いた。

全国で3PL(サードパーティー・ロジスティクス)事業を展開する佐川グローバルロジスティクス。関東、中京、関西、九州を中心に約100拠点・50万坪の倉庫を有しており、1坪から2万坪超まで多種多様なニーズに応えるキャパシティー、そして創業およそ45年の経験値を生かした提案力を強みとしている。国内屈指の約2500社の顧客を抱える中で、物流に関わる課題が年々深刻化するのを肌で感じ取ってきたと坂上社長は言う。

坂上公彦(さかがみ・きみひこ) 佐川グローバルロジスティクス株式会社 代表取締役社長
坂上公彦(さかがみ・きみひこ)
佐川グローバルロジスティクス株式会社
代表取締役社長

「人件費の高騰、物流の2024年問題、ドライバー不足や高齢化の影響はさらに大きくなるでしょう。従来の物流サプライチェーンを維持していくことの難易度は高まり、その先にはコスト増による利益の圧迫が待ち受けているのではないか、そんな懸念を多くの企業が抱いています。また、越境ECによる販売競争の激化、労働人口の減少や職業選択の広がりによる人員不足、多品種小ロットによる小口配送のコスト増といった課題も顕在化しているのが現状です」

では、それらを乗り越えるために、どんな一手を打つべきだろうか。

「外国人労働者の受け入れの検討、ロボティクス化、自動搬送機器の導入による省人化でのコスト安定化、WMS(倉庫マネジメントシステム)の導入などが主なポイントです。プロの目線を入れて物流を再設計し、拠点の集約やレイアウトの最適化を図ることでサービスレベルを落とさずに変動費化を目指す、そんな動きが活発化している印象です。ただ、危機感が高まっている一方では、自社の物流がどんな状態にあるのかをなかなかつかみきれていない、そんな企業も少なくないと感じています」

「どこに問題があるのか」を明確にする「Logiカル(※)

そこで、「どんな現状で、何を解決するのか」を可視化するサービスが「ロジスティクス・カルテ」(通称Logiカル)だ。コンサルティング部の佐々木氏が概要を説明する。

「Logiカルは、サプライチェーン全体の分析と、お客さまの要望に応じて気になる部分の詳細分析からなる、いわば物流の定期健診です。人間でいえば血圧が高い、視力が低下している、そうした問題点を明確なアウトプットとして提示します。この診断に加えて、解決に向けて具体的な治療まで含めて伴走するのが、『ロジスティクス・カルテPlus』です」

佐々木朋幸(ささき・ともゆき) 佐川グローバルロジスティクス株式会社 コンサルティング部 シニアコンサルタント
佐々木朋幸(ささき・ともゆき)
佐川グローバルロジスティクス株式会社
コンサルティング部
シニアコンサルタント

この9月には、新たに「ロジスティクス・カルテLight」もラインアップに追加された。倉庫運営の評価に特化したメニューで、利用しやすい価格に設定されている点も特徴だ。「オペレーション、倉庫、システム、環境、コストの5項目を5段階で点数付けして定量的に評価します。評価表の中には、競合他社と比較して自社の物流現場のレベルがどう位置付けられるかが分かるベンチマークも記載します」

佐々木氏ら在籍しているコンサルタント全員が、現場の第一線を経験してきた。おのおのがこれまでに直接向き合ってきた課題や解決策を導き出した例などを踏まえ、仮説からデータ分析による検証まで、スピーディーかつ精密に行う。

「現場視察、ヒアリングの実施を通じて、お客さまが感じている不安や課題、ビジョンを丁寧に共有しながら進めていきます。ご利用いただいた皆さまからは、安心感があった、自分たちではここまで気付けなかった、そんな感想を頂くことが多いですね」

※「ロジスティクス・カルテ」および「Logiカル」は、佐川グローバルロジスティクス株式会社の登録商標です。

ソリューションを生み出す体制強化が着々と進む

坂上社長は「経営課題として物流を認識したとき、大切なのはデータや現場の事実を知ること」だと強調する。

「Logiカルを用いて分析して診断し、課題を明確化させた上で、現状の物流を踏襲して進化させていく方向がベストなのか、それとも全く異なる切り口から物流を再設計した方がいいのか。お客さまと共にソリューションを創造・実装し、成長を支えていきたいと考えています」

ソリューション創出を促進する体制も、着々と次のフェーズへと移行しているという。

「佐川グローバルロジスティクスのノウハウを凝縮した自社WMSのSakuraをリリースしました。外部システムやマテハンとの連携がよりスムーズになり、ご依頼から導入までのリードタイムも大幅な短縮化を実現しています。AIの実装、スマホを用いた検品など、変化していくニーズにしっかりと対応できる機能の拡充も進めています。また、当社は約300社の物流事業者とパートナーシップ契約を結んでいます。お客さまが思い描くビジネスとマッチする3PL事業者がいれば、われわれが営業のフロントとして与信などの契約関係、設計、運営サポートまでを担当し、パートナー企業を通じて当社と同等のサービスをご利用いただけるLMS(ロジスティクス・マネジメント・システム)という仕組みも構築しています」

今後の注力領域について坂上社長は「物流の自動化・高度化の積極的な推進、小規模な事業者にも高品質なサービスを届けるためのプラットフォーム化、膨大な配送データを基にした革新的な提案」などを挙げ、「全国の拠点を、現状の50万坪から100万坪へと戦略的に増床していきたい」と未来を見据える。

「ロジスティクスの課題を解決することで、効率化によるコスト削減や品質の向上につながるのはもちろん、例えば従業員の給与アップや働きやすさの向上にも結び付くなど、全てが良い方向に転換できるのではないかと考えています。お客さまが自社の製品を作る、売ることに一層集中するためにも、われわれは物流のプロフェッショナルとして、より良いサービスを提供していきたいと考えています」

最短3週間で物流の課題を可視化する「Logiカル」
「ロジスティクス・カルテ」サンプル
ご要望に合わせて選べる3つの診断コース

手軽に自社の物流課題を可視化できる簡易型コンサルティングサービス「ロジスティクス・カルテ」。診断結果はA3の用紙1枚(両面)のカルテとして報告される。基本項目は物流コスト比率診断、SCM(サプライチェーンマネジメント)流量・コストの可視化など。企業別の詳細分析として、BCP評価、在庫最適化、輸配送分析、コストパフォーマンス評価、拠点シミュレーション、RFP作成、出荷キャパシティー分析、庫内オペレーション評価、その他各種調査などを実施する。