今年4月の改正労働契約法の施行により、「凖正社員」という雇用の枠組みの議論の行方が注目されている。

凖正社員とは、雇用期間に定めがなく、職種・勤務地・労働時間等を限定した働き方の雇用区分のこと。、無期雇用である従来の正社員と有期雇用である非正社員の中間的な存在だ。

みずほ情報総研の小曽根由実氏は「『従来型正社員/いわゆる“凖正社員”/非正社員』という3区分を整備し、違う区分へ転換できる制度を設けると、企業は雇用している非正社員を凖正社員として活躍できるかどうか見極めることが可能になる。また、凖正社員は、本人の希望により、従来型正社員になれる可能性がある」と話す。

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減り続ける正社員比率

そもそも日本の正社員はガラパゴス化している。「日本では、雇用や生活の『保障』と残業や頻繁な転勤の『拘束』が対の関係で、耐えられる人だけが正規雇用の対象となってきた。だが、海外では基本的に職務範囲や勤務地などを契約時点で決められていないのは経営層くらいなもの」と慶應義塾大学商学部教授・樋口美雄氏はいう。「事業所が閉鎖されたとき、社内で配置転換するという今までの正社員の雇用は柔軟ではあったが、実際は遠方への引っ越しや職務の変更などでやめてしまうケースも多い。多様な正社員は働く人の選択肢を増やす面がある」

ただし、これが雇用調整の手段として使用される可能性もある。「新入社員なら問題ないが、既存社員には、不利益変更が起こらないような制度づくりが不可欠だろう」(樋口氏)。