数字に苦手意識を持つビジネスマンは少なくない。ビジネスに役立つ数字や、覚えておくと得する法則を、硬軟織り交ぜて、数字の専門家やビジネスの専門家たちが指南する。

成長率4%=0%のパラドックス

ビジネスマンは誰でもマイナス4%のハンデを負っている、といったら驚くでしょうか。

流通ジャーナリスト 
金子哲雄氏

流通業界では、去年と同じことをしていると既存店売上高が4%減ると言われています。何もしなくても売り上げが減るのは、競合店が新たに出店したり、商品やサービスが陳腐化するから。仮に現状維持を目指すなら、少なくても売り上げを4%伸ばす手を打ってようやくトントンになる計算です。

実はこの法則はビジネスマン個人にも当てはまります。去年と比べて何も進歩がない人は、成果の量や質が微妙に落ちていきます。かつては定期昇給があったので目立ちませんでしたが、いまは成果が年収に跳ね返る時代。成長のない人は、これから年収が4%ずつ減っていくというわけです。

とくに注意したいのは、去年うまくいった人です。成功体験があると、それにしがみつきたくなるのが人間の心理。たとえ4%ダウンになっても、「たまたま今年が悪かっただけ」と自分に言い聞かせて、同じことを続ける危険性が大です。

マイナス4%のハンデを跳ね返すためには、自己投資して新しい武器を手に入れるしかありません。ちなみに私は年収の約1割を勉強に使っています。いま集中して投資しているのは中国語。個人レッスンに通い、なんとか速習しようと頑張っているところです。

中国語を選んだのは今後の経済成長が期待できるからですが、そういう意味ではフランス語も面白いと思います。世界の実質経済成長率ベスト20のうち、約半数の9カ国を占めているのがアフリカ諸国。アフリカはフランスの植民地だった国が多いので、これからビジネスでフランス語を耳にする機会は増えるはずです。もちろん語学でなくてもいい。何かしら自分を磨き続けることで、プラス成長に自分を導いてあげてください。