岸田首相では、衆議院解散も内閣改造もできない

もう1つは、「岸田首相全責任論」の高まりである。荒井氏の見立てをもう1つ紹介しよう。

「岸田さんは、今の状況を建て直せるのは自分しかいないと思っているかもしれませんが、私は、岸田さんで次の衆議院選挙は戦えないと見ています。岸田さんはおそらく内閣改造をした後に自民党総裁選挙に臨む考えでしょうけど、果たして組閣ができるのかどうか疑問です。いろいろな議員と話をするとね、『岸田さん、通常国会が終わったら、全部背負って退陣してくれ』という声もあるんですよ」

筆者が見る限り、岸田首相本人は続投に意欲満々だが、最新の内閣支持率と自民党支持率を足した合計は50%を割り込み、昨年死去した自民党の青木幹雄元参議院議員会長が経験則から唱えた「青木率」(内閣支持率+政党支持率=50%を割り込むと危険水域)と呼ばれる水準を下回っている。

永田町でもよく知られたこの法則に照らせば、岸田首相は、衆議院の解散どころか内閣改造もままならず、早晩、退陣に追い込まれることになる。

見出しに踊る「衆院選」の文字
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「岸田降ろし」を回避しようするものの…

こうした中、岸田首相と自民党執行部は、4月28日に投開票が行われる衆議院3つの補欠選挙(東京15区、島根1区、長崎3区)のうち、東京15区と長崎3区を不戦敗にすることで「負け数」を減らし、「岸田降ろし」につなげない作戦に出た。

また、6月20日に告示(7月7日投開票)される東京都知事選挙をにらんで、小池百合子知事が国政にくら替え出馬しないよう、衆議院の解散日程も入念に検討している。

しかし、いくら補欠選挙で「負け数」を減らし、小池氏の国政復帰を阻止し自民党総裁選挙出馬の可能性をゼロにしたとしても、今年夏ごろ、内閣改造に着手した途端、「もうここらへんで降りてくれ」との声が高まり、入閣を要請した議員の固辞も相次いで、結局、内閣改造ができないまま表舞台から去る可能性は十分にある。