小学生に「発電するときに熱が発生する」イメージを伝える

私たちは、身近にあるものや、普段から経験していることはイメージできます。しかし、どれほど言葉が簡単でも、体感したことがなければイメージできないことがあります。

私が勤めていた工場に、小学生が見学しに来たときのことです。工場にある「コージェネレーションシステム」をどう説明したらいいのか、悩みました。

「コージェネレーションシステム」とは、都市ガスなどの燃料を使って発電すると同時に、発電時に発生する熱も利用できる「一石二鳥」の設備です。

しかし、「発電するときに熱が出る」ということをイメージするのは、自分で発電するという体験が乏しい人にとって簡単なことではありません。

体感を伴う経験がなければイメージの源は増えない

そこで、身近な例で「自分で発電する体験」を探してみました。例えば、自転車のライトを、ペダルをこいで点灯させるのも「発電」です。今の子どもたちなら、自転車よりも理科の授業で使われる手回し発電機のほうが、より身近に感じられるかもしれません。

いずれにしても、自分で電気を作るときは、体を動かすので暑くなります。

「皆さんは今、手や足を使って電気を作りましたが、発電所では天然ガスや石油などの燃料を使って電気を作っています。燃料を燃やすと熱が出ます。皆さんも今、体を動かしたから暑いでしょう? 皆さんの体の中で熱が作られたからです。冬の寒い日に自転車をこいだり、手回し発電をしてみたらどうでしょう? 体が温かくなって一石二鳥ですね」

そう話をしたあとで、コージェネレーションシステムも同様であることを伝えると、子どもたちは頷いてくれました。

自転車こぎや手回し発電のように、体感を伴う経験をすると、言葉のイメージがしやすくなります。そのためには、まず自分自身が体感していなければなりません。日頃から「これってどんな感じなのだろう?」と好奇心を持ち、とりあえずやってみて、「体で感じた経験値」を上げていくことが、説明上手への近道なのです。