仕事のできる人は、相手に物事を伝える時になにを意識しているのか。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト(WBS)」キャスターの山川龍雄さんは「話し始める前に最終的な目的を伝え、そのうえで結論から話し始める。例えば、道案内で『あの角を曲がって』と話し始めるのはやめたほうがいい」という――。

※本稿は、山川龍雄『「話す・聞く・書く」伝え方のシン・常識 半分にして話そう』(日経BP)の一部を再編集したものです。

スマートフォンを持ちながら女性二人の道案内をする男性
写真=iStock.com/JohnnyGreig
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道を聞かれて「あの角を曲がって…」と話し始めてはいけない

Q 伝えることは相手を知ることから始まる、ということは理解できました。次は、話す順序について聞きます。山川さんは、相手から質問を受けた時、冒頭はどんなことを意識して話し始めますか。

A そうですね。いきなり各論から話を始めないことです。

Q というと?

A 例えば外を歩いていて、突然知らない人に道順を聞かれたとします。その際、10分くらい歩かないと到着しないような目的地だったら、どう説明しますか?

「3つめの角を右に曲がって、それから2つめの角を左に曲がって……」と話を始めますか。もしそうだとしたら、あまり話が上手だとは言えないし、職場でも高くは評価されていないかもしれません。

Q どうして?

A 相手の立場になっていないからです。道順を尋ねる人の多くは、歩いて行けるのか、タクシーや地下鉄を使った方がいいのかをまず知りたいのです。こんな時には「歩いて10分くらいかかりますが、どうしますか?」と聞くところから始めた方がいい。

いきなり「あの角を曲がって」と各論に入るのではなく、大掴みに目的地の方向を示して、移動手段の意向を確認するわけです。各論に入る前に、話の終着点を示す、と言い換えてもいいかもしれません。