最初に終着点を示し、相手の不安を取り除く

Q 相手に道順を聞かれたので、順番に行き方を説明しているわけで、間違ってはいません。それでも、ダメですか。

A 歩いて1分のところなら、それで構いません。でも10分は結構長い。

それに教わる側は10分の道順を記憶するのは簡単ではありません。仮に歩くにしても、最初に指で示して「この方向に歩いて10分」と伝えておけば、だいたいの方向感が掴めるので、その後の説明がスムーズに頭に入ってきます。特に外国人に道を聞かれた場合には、そうした方がいい。

Q 確かに外国人観光客の多くは、どのくらいの時間で目的地にたどり着けるか不安を抱いています。

A 外国に行った時、タクシーよりも、「ウーバー」などの配車アプリで呼んだクルマに乗り込む方が安心しませんか。あれは発車する時点で移動時間や経路、料金の目安が分かっているからです。

これがタクシーだと、「自分はどこに連れていかれるのだろう。このドライバーは料金を吊り上げるために、遠回りして運転しているのではないか」と不安が募ります。話も同じで、最初に終着点を示して、相手の不安を取り除くことが必要なのです。

地図の上にさされた赤と青のピンを結ぶ道順の青い線
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日本語の文法は外国人にはまどろっこしい

Q なるほど、特に外国人との会話では気を付けた方がいいですね。

A それに、そもそも外国とは文法の違いがあります。英語は主語の後に述語が来ますから、結論を先に言うのが当たり前の文化です。これに対して、日本語はいろんな形容詞が付いて、最後に述語が来る。そのため、日本人は時系列を追って順番に話す癖があるので、それが外国人にとっては、まどろっこしいのです。

Q インバウンドの増加もあって、日本国内にいても外国人と会話する場面が増えました。普段から、各論から入るのではなく、話の終着点を最初に見せるという習慣を付けることが大切ですね。