脳のストレス耐性が強い人は何をしているか。脳科学者の茂木健一郎さんは「将棋棋士の藤井聡太氏は子どもの頃から、将棋で負けると悔しがって泣き、将棋盤から離れなかったというエピソードがある。大人からみれば将棋はゲームであり遊びとみることもできるが、それに本気になって取り組む負けず嫌いな子どもというのは、ストレス耐性を高めるための優れた資質を持っている。大人も同様に、仕事のチームのなかでの自分の役割を理解し『ごっこ遊び』としてそれを精一杯演じ切ってみると、ストレス耐性、脳レベルを高めることができる」という――。

※本稿は、茂木健一郎『脳をしっかり休ませる方法』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

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強いストレスを長く受けると記憶力が低下する

現代社会を生き抜くビジネスパーソンの多くが、ストレスとうまく付き合っていかなければならないのではないでしょうか。

「自分はストレスなんてない」という人はごく一部であって、「あー、ストレスで胃が痛いよ」などと嘆く人が多いはずです。

ですが、最新の脳研究において、強いストレスが長く続くと、脳の器官の海馬にダメージが加わり、アルツハイマー病や認知症といった記憶障害などの影響が出ることがわかってきました。

職場の人間関係における悩みや、責任が重くのしかかる仕事を任されるなどで長い間強いストレスにさらされていると、自分では気づかないうちに物覚えが悪くなってしまう可能性があるのです。

「最近どうも物覚えが悪くなってきた気がするが、きっと年のせいだ」

そんなふうに考えがちですが、実はストレスが脳に影響を及ぼしているのかもしれません。