かつて写真館でしか現像できなかった写真が、今ではプリンタで手軽に印刷できるようになった。そんな変化が、立体物でも起こっている。

紙に平面的に印刷するプリンタに対して、3次元立体を出力・造形する機械を「3Dプリンタ」という。スキャナから造形を取り込んだり、Webからモデルデータをダウンロードし、それを3Dプリンタで出力すれば、モノが出力される。材料を層状に塗り重ねて積んでいく方式がスタンダード。これまでも試作品を作るときなどに使われていたが、ここ数年で机の上に載るほど小型化し、価格も下がった。

材料は樹脂が中心だが、金属や木の粉末を混ぜれば、幅広い用途の製品が作成可能だ。「100円ショップなどに買いにいかなくても、自宅で自分の好きなものを作ることができる」と慶應義塾大学准教授・田中浩也氏は話す。

米ストラタシス社の「Mojo 3D Printer」。本体価格は128万円。(丸紅情報システムズ=写真提供)

さらに、田中氏は「『少品種大量生産』の時代から、『多品種少量生産』の時代へのパラダイムシフトが起きる」と語る。金型が不要になり、小ロット商品が簡単に作れるようになるからだ。将来は「たとえばスマホのようなプロダクトを、内部の電子回路と外装パッケージの区別なく、現物そのまま出力・造形することが可能になる」(田中氏)という時代がくる。製造現場の生産・流通が激変するだろう。

現在世界中で「ファブラボ」と呼ばれる3Dプリンタなどの工作機械を備えた市民工房ネットワークができつつある。銃など「作ってはいけないもの」の扱いなど、課題はあるが、第3次産業革命はもう始まっている。