追加利上げの可能性は低い

追加利上げの有無はどうか。この可能性もゼロに近いのではないか。これまで述べてきたように、今年は月を追うごとに物価上昇の鈍化が鮮明となる。加えて、大企業とは違い、中小企業はすでに人件費の負担は高く、賃上げはかなり抑制的になると見られるからだ。

肝心の実体経済は、デフレを脱却したと力強く言えるような状況からは程遠い。物価を加味した会社員の実質賃金は、2023年12月まで21カ月連続のマイナスを記録しており、当面、このマイナスは続く見通し。実質賃金のマイナスは2年目に入り、家計の実態は数字以上に厳しいだろう。こうした状況で、さらに国民の負担が増す、短プラの引上げにつながるような追加利上げの妥当性は低い。

来年も変動金利は変わらない可能性が高い

結論をまとめると、「4月にマイナス金利解除、翌日物金利は0~0.1%、追加利上げ無し」といったところか。となれば、年内に変動金利が引き上げられる可能性はほぼ無いといえる。

来年を見渡せば、さらに物価上昇が鈍ることで追加利上げの必要性はますます減少する。米国の利下げも来年にかけて数回行われる見通しで、為替相場は現在の水準からは円高方向に振れるだろう。したがって、今後、少なくとも2年程度、変動金利は変わらず、現行の金利が続くのではないだろうか。

また、それ以降も、日本の需給ギャップがマイナスであることや、潜在成長力の低さを考慮すれば、次々と追加利上げが行われることは想定しにくい。