交渉をうまくまとめるにはどうすればいいのか。弁護士の保坂康介さんの著書『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』(日本実業出版社)より一部をお届けする――。

交渉では相手を「認めて」、願望を「満たしてあげる」

皆さん自身が交渉の当事者になったと想定してみてください。

交渉で成功したいですか? もちろん、成功したいですよね。当然のことだと思います。少なくとも失敗したいとは思っていないでしょう。

なぜかって。交渉に失敗すると、自分の望んでいることや守りたいと思っていることが実現できなくなりますから。もっと言えば、自分の得たい願望や守りたい願望が相手に認められないことによるネガティブな感情を味わいたくない気持ちもあるのでは?

人は「承認」されたい生き物ですから、交渉でも自分の言い分や望みを相手に認めてもらいたいと思うのです。

欲求が満たされないと欠乏感を持ってしまう

「マズローの欲求5段階説」は有名ですので、皆さんもご存じかもしれません。

図のように、下から生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求(所属と愛の欲求)、承認欲求、自己実現欲求の5つがあります。

これらの欲求が満たされないと欠乏感を持ってしまいます。だから交渉でその欲求が通らないと嫌ですし、そうならないために交渉に成功したいと思うのでしょう。

だとしたら、それは交渉の相手も同じです。あなたが交渉に成功したいと思っているのなら、相手も同じように成功したいと思っているはずです。

お互いが何の譲歩もせずに、双方の願望や欲求がまるっと通れば何の問題もありません。でも実際にはそんなことは起こりません。