今後20年間、世界は不安定になる

わたしは記者として1970年代はじめから日本を何度も訪れ、日本の友人と長く親交をあたためてきた。わたしの日本観はそのなかで形づくられたものだ。1990年代はじめまでの驚異的な成長も、その後の停滞も、この目で見てきている。そしてもちろん、中国の台頭がもたらした東アジア時間帯における経済のパワーシフトを肌で感じている。

本書に埋め込まれている重要な考え方の一つとして、つぎの10〜20年は、世界にとってさまざまな点で厳しく不安定な時期になるということがある。

アメリカと中国の国旗のイメージ
写真=iStock.com/ffikretow
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中国とアメリカのあいだの緊張が高まるのは避けられない。その動きはすでにある。台湾の地位をめぐる緊張や中国の西側への投資をめぐる緊張がそうだし、中国の領土拡張政策全般がそうである。そこにロシアによるウクライナ侵攻という悩ましい要素が加わっている。これがどう収束するのかは、いまの時点ではわからない。

それ以外にも数多くの緊張が生まれるだろう。アメリカと西側全体にとっては、非同盟主義の国、とくにインドに対して、独裁国家の側につかずに民主主義の国と協力することが自国の利益になると説き伏せるのが最優先の課題になる。

日本には積極的にリーダーシップをとってほしい

日本にとっては、この不透明な時期にどのような役割を果たすかが課題の一つになってくる。

2030年代末には、中国の前進は止まる。人口が高齢化して減少に転じるため、いまよりも付き合いやすい隣人になる。ロシアについては、人口が収縮して広大な国土を管理できなくなり、状況はどんどん厳しくなっていく。

だが、日本はその一方で、どうすれば適切で十分に機能する民主的な混合型市場経済へと世界をうまく導いていけるかという問題と向き合わなければいけない。これは難題であり、答えは日本人自身が見つけなければならない。

外を向いて、西側同盟のなかで軍事的な役割を拡大するなど、より積極的に関与するべきか。それとも自国を優先して国民を第一に考えることが日本の国益になるのか。

どちらの側にも言い分はある。わたしは、日本は後者の道をいく可能性のほうが高いと考えている。しかし、外国人が国の政策に口を出すべきではないだろうが、わたし個人の願いを言わせてもらうなら、日本はアジアのなかで積極的にリーダーシップをとってほしい。それは国内と世界の両方に目を向けるということだ。わたしがそう言うのは、日本は英知と判断力をもってそのパワーと影響力を発揮すると信じているからである。