2050年までに日本はどんな国になっているのか。英国人ジャーナリストのヘイミシュ・マクレイ氏は「バブル崩壊、巨額債務、高齢化など、日本は世界が直面している課題に対処している。日本の将来を悲観しすぎないほうがいい。」という。最新刊『2050年の世界 見えない未来の考え方』(日経BP)より、その一部を紹介する――。

日本は民主主義の重要な成功例

本書は世界経済の未来に関する本である。しかし、日本の読者の皆さんにわたしから伝えたいメッセージも、この本に込めている。

日本は過去半世紀以上にわたり、世界経済でとても大きな役割を果たしてきた。つぎの30年以降も、みなさんの国が世界経済を形づくる非常に重要な役割を担いつづけてほしいと心から願っている。

穏やかで秩序ある社会をつくり、安全でだれもが憧れる生活様式を国民が送れるようにするなど、日本が世界に教えられることはほんとうにたくさんある。しかも、世界第3位(発行日 2023年07月19日時点)の経済大国であり、2050年にも大差の4位を維持する可能性がとても高い。民主主義の下ですべての国民が快適な生活を送っている非常に重要な成功例でもある。

東京上空のイメージ
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日本に関する大きなテーマは二つある。

第一に、先進諸国に対し、すべての人の役に立つ高齢化社会をつくるにはどうすればいいかを示す。そして第二に、価値観が固まっていない国々に対し、官民が協力する日本型の混合経済(※)モデルがうまくいくことを示す。日本は経済力があるだけでなく、アメリカの政治科学者であるジョセフ・ナイのいう「ソフトパワー」もある。

※混合経済……市場経済と計画経済をミックスした経済体制