政治家が本当にやるべきこととは何か。前明石市長の泉房穂氏は「政治において重要なのは“方針”“予算”“人事”の3つ。今の日本には、これを理解している本当の政治家はいないといっていい」という――。(第1回/全3回)

※本稿は、泉房穂『10代からの政治塾 子どもも大人も学べる「日本の未来」の作り方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

マイクの前でフラッシュを浴びる男性のイメージ
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官僚と政治家の役割の決定的な違い

官僚とは、ざっくり言ってしまえば、中央省庁に勤務する国家公務員のこと。中央省庁とは、内閣府や総務省、財務省、法務省などの各省庁、つまり国の主要な行政機関のことです。

彼らはそこに所属して、法案や予算案などのさまざまな政策を作り、それを実施できるよう調整しています。言わば、政治のプロフェッショナルとも言える存在です。

では、政治家とは何が違うのか? それはもう、明確に違います。政治家と官僚は、役者と裏方のようなものです。政治家が方針決定をし、それを実現するために、官僚が実務をこなします。

例えば、Aさんという政治家が、環境省の環境大臣に抜擢されたとします。そこでAさんは、「環境のために、レジ袋を有料化する」という政策を打ち出します。すると、環境省の官僚たちが、その政策がうまく機能するように、予算を組んだり、細かいルールを作ったりして、Aさんを全面的にバックアップします。そのようにして、政治家と官僚がうまく協力し合うことで、行政がスムーズに行われるしくみになっているのです。

……と、これは理想のお話。