呼吸というと「腹式呼吸」がイメージされますが、私は「胸腹式呼吸」をおすすめします。なぜなら、腹式呼吸の場合、息を吸い込む際に無理にお腹を膨らませる必要があるため、不自然な動作になってしまうからです。

胸腹式呼吸は簡単です。鼻から吸って口からフーッとラクに吐くだけ。肋骨全体が広がり、特に背中側が動いていることを意識しながら行います。1日10呼吸程度でいいので、毎日続けてください。

寝返りしやすい体が睡眠の質を上げる

背中をゆるめれば、睡眠の質が上がります。背中がゆるむと深い呼吸ができるようになり、自律神経のバランスが整うことはもちろんですが、「寝返り」がしやすくなるためです。良質な睡眠に寝返りは欠かせません。

一般的に成人は、7~8時間の睡眠中に、20~30回ほどは寝返りをすると言われています。「ぐっすり深く眠る」と聞くと、ほとんど動かずに眠り続けることをイメージされるかもしれませんが、それは逆です。睡眠中、長い時間同じ姿勢のままでいると、筋肉や骨に負担がかかってしまいます。

かわいい灰色の猫と眠っている人
写真=iStock.com/Pyrosky
※写真はイメージです

そこで、無意識のうちに体をひねりながら寝返りを打つことで、筋肉を動かし、体への負担を減らしているのです。血行やリンパの流れを促進したり、体温調整を助けたりする働きもあります。

犬飼奈穂『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)
犬飼奈穂『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)

ところが背中が固くなると、寝返りが打ちづらくなります。背中や肩、腰などの筋肉が収縮して可動域が狭くなると、うまく体をひねることができないからです。寝返りは無意識の動きだからこそ、体の状態がダイレクトに反映されるのです。

年齢を重ねて筋肉の柔軟性がなくなったり筋力が落ちたりすると、寝返りの回数は減ると言われています。同様に、若くても、背中の筋肉が固いと寝返りの回数は減ってしまいます。悪い夢を頻繁に見る、夜中や明け方によく起きてしまう、朝起きても疲れが取れていない……。こんな悩みを抱えている人は、背中の筋肉が慢性的に緊張して、ガチガチになっている可能性が高いです。

背中をゆるめれば、寝返りで体は快適な状態になり、深く安定した呼吸とともにこわばりも解け、リラックスできるようになります。

ぽっこりお腹の「おじさん体型・おばさん体型」を改善できる

特別な食事制限をしなくても、背中をゆるめるだけで人はやせることができます。ここで言う「やせる」というのは、単純に「体重が減る」ということではありません。洋服がサイズダウンする、お腹が引っ込む、スタイルが良くなるなど、「見た目が変わる」ことを指します。