区によって人口減少の大きさが違うのはなぜか

これまで見てきたとおり、区によって人口変動が違うわけですが、何が背景にあるのでしょうか。これには「自然増減数」と「社会増減数」の2つの要因が影響しています。

「自然増減数」とは、死亡する人数と新たに生まれる子どもの数の差を意味しています。死亡する人の数が多ければ人口は減りますし、逆に生まれる子どもの数のほうが多ければ人口は増えていきます。

「社会増減数」とは、その地域に転入して来る人と転出していく人の差を意味しています。転入してくる人のほうが多ければ人口は増えますし、逆に転出する人が多ければ人口は減っていきます。

この2つの要因が区によって大きさが違い、人口変動に差が生じます。東京都はこれら2つの予測値も公表しています。図表4は「自然増減数」の予測値であり、図表5は「社会増減数」の予測値を示しています。これを見ると興味深い2つの結果が読み取れます。

まず図表4の「自然増減数」を見ると、2020年以降、東京23区のほとんどで自然増減数がマイナスになっています。

これは各区で住んでいる人の死亡数が出生数を上回る状態にあることを意味します。東京23区内でも高齢化による死亡数の増加によって、人口が減少するわけです。なお、2045年までの間で自然増減数がプラスとなるのは、千代田区と中央区であり、これらの区は図表1の中でも人口が増え続けるグループに入っていました。千代田区と中央区は出生数が死亡数を超える状況にあり、他の区とは明らかに違った動きをすると言えるでしょう。

23区には人が集まり続けるが…

佐藤一磨『残酷すぎる幸せとお金の経済学』(プレジデント社)
佐藤一磨『残酷すぎる幸せとお金の経済学』(プレジデント社)

次に図表5の「社会増減数」を見ると、すべての区で社会増減数はプラスになっています。これは転入が転出を上回っていることを示しており、2045年まででも東京には人が集まり続けることを意味します。ただし、時間がたつにつれて、多くの区でプラスの値が徐々に小さくなっています。これは東京に人が集まってくるけれど、その規模が縮小傾向にあることを意味します。おそらく、少子化によって地方から東京へ移住する若年人口が減少することが背景にあるのでしょう。

これまでの話を整理すると、今後も23区には人が集まり、「社会増減数」はプラスになりますが、そのプラスの規模は徐々に低下していきます。これと同時に死亡数が出生数を上回り、「自然増減数」がマイナスとなって、人口が減少するようになると考えられます。このタイミングが各区で異なるわけです。