若者の投票率が下がり続けると、どんな問題があるのか。政治哲学者ハンナ・アーレントは「多様な人々が政治に参加しなければ全体主義がはびこる」と説いた。新刊『21世紀を生きる現代人のための哲学入門2.0』(Gakken)からその思想を紹介しよう――。

※本稿は、富増章成『21世紀を生きる現代人のための哲学入門2.0 現代人の抱えるモヤモヤ、もしも哲学者にディベートでぶつけたらどうなる?』(Gakken)の一部を再編集したものです。

投票箱に用紙を入れる手
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政治に興味を持たないことの何が問題なのか

若者の投票率低下が指摘されて久しいですが、その傾向は依然変わらない状態です。

少子高齢化が進む現代では、「いまや少数派となってしまった若者が投票に行ったところで票数では勝てないのでは」「そもそも政治自体に関心が持てない」という言説も見られるようになってきました。

そんな方に知っていただきたいのが、政治哲学者のハンナ・アーレントです。彼女は政治参加の重要性について唱えた哲学者であり、その内容は《政治への関心低下》が進む現代でも参考になる部分があります。

「政治に興味がないのはダメなことなのか」――そんなテーマで、もしも政治哲学者と現代人がディベートしたらどうなるのでしょうか?