年末年始は財産の全容を確認するチャンス

相続財産は実家の土地家屋だけではありません。不動産から預貯金、株、国債、投資信託、保険などのほか借金までのすべてが対象となりますので、それら全てを親から聞き出すなどして把握しないといけません。

しかし、何の前触れもなく、いきなり財産を聞き出すのはハードルが高く、不信感を与えてしまうかもしれません。年末年始やお盆などで家族が集まる時期に、断捨離、エンディングノートなどの話を少しずつ無理なく取り入れながら自然と相続の話がするのが良いかと思います。

そうした話の中で、前述の境界確認書をお隣さんと過去に取り交わしたことがあるか、実家の前面道路が私道なら私道の通行掘削承諾書があるか、借地なら土地賃貸借契約書や地主さんのことなども聞いておくと良いでしょう。

実家を売却する場合は、さらに書類の準備が必要です。物件にもよりますが、一戸建ての場合は、①土地建物の権利証(登記識別情報通知)②所有者の印鑑証明書③印鑑登録した印鑑(実印)④評価証明書が主なものとなります。

①の権利証は再発行できないものなので、万が一紛失した場合は司法書士さんに費用(5万円~10万円目安)を支払って証明書に準じた書類を発行してもらうといった手続きが必要です。また、前述の境界確認書や私道の通行掘削承諾書も探しておくと良いでしょう。

親が元気なうちに話し合っておくべきこと

相続で揉めないためにはどう備えたら良いのか。来るべき相続に備えてどのような動きをするか。まずは、現状で我が家では相続税が課税されそうなのかどうなのかを知ることです。

もし、不明な場合や不動産を多く所有されているような場合は、税理士さんや相続の専門家に相談すると良いでしょう。

次に、不動産業者に相談して、実家など不動産について実際に売却可能な金額の査定を依頼するとともに、実家が抱える問題点を洗い出す必要があります。そして、相続の専門家や不動産業者を交えて、家族みんなで問題点の解消やどのように相続を迎えていくのかをじっくり話し合われると良いかと思います。

【関連記事】
実家の"ごみ屋敷化"はここから始まる…帰省のときに必ず目を光らせたい家の中の意外な場所
実は賃貸に住む建築家が多い理由…プロがこっそり教える「住宅会社が絶対に言わない"住まい"の真実」
「家は賃貸より購入がお得」という専門家が「職場近くの世田谷1K4000万円の新築」はダメと断言するワケ
なぜ日本では「すぐに住めるきれいな家」が大量放置されているのか…空き家問題が解消しない根本原因
「10個のリンゴを3人で公平に分けるには?」有名な思考クイズをひろゆきが解いたら…答えが斬新すぎた【2023上半期BEST5】