伸縮ストローでは国内7割のシェアを誇る

オーナーが3回変わっても一貫して残っている主力事業が一つある。伸縮ストローだ。

伸縮ストロー分野で日本ストローは国内市場の7割を押さえるトップメーカーだ(年間生産能力55億本)。ちなみに、海外に競合メーカーがほとんど存在しないため、世界最大ともみられている。

伸び縮みする伸縮ストローは使い勝手が良く、①ジュースや牛乳などの紙パック飲料②コーヒーや飲むヨーグルトなどプラカップ飲料――で広く利用されている。

日本ストローが国内シェアトップを誇る2段式の伸縮性ストロー
写真提供=日本ストロー
日本ストローが国内シェアトップを誇る2段式の伸縮性ストロー

紙パック飲料もプラカップ飲料もコンビニにとっては不可欠の商品。そんなことからセブンとの接点が生まれ、セブンカフェが始まると「アイスコーヒー用ストローが欲しい」とのリクエストが舞い込んできた。

コンビニ大手が国産ストローを選んだ理由

セブンのアイスコーヒー用ストローは、2013年にセブンカフェがスタートして以来ずっと日本ストロー製だ。

セブンカフェが登場した当時、日本ストローはコンビニ市場の急拡大に注目し、大手各社に積極的に営業攻勢を仕掛けていた。ファストフードチェーン大手向けの売り上げが伸び悩んでいたこともあり、新たな市場を開拓しなければならなかったのだ。

とはいっても、単純なストレートストローであれば差別化は難しく、割安な輸入品が有利になる。なぜセブンは日本ストローに白羽の矢を立てたのか。

理由は大きく二つあったとみられる。

一つはストローの口触り。コンビニが求めていたのは「アイスコーヒーがおいしく飲めるストロー」。日本ストロー製の飲み口は滑らかに加工されており、唇や口内を傷つけない。輸入品であると飲み口がギザギザだったり鋭利だったりするケースが少なくない。

もう一つはリードタイム(発注から納品までの期間)。日本ストローは富士と熊本の両市それぞれに工場を構えており、物流という点で機動的に動ける。コンビニにしてみたらストローは“水物”であり、納品までに数カ月もかかる海外勢は使いにくかった。