コア商品のストレートストローは数十年前と変わらず

第1に、ゲータレードにとってのパワーエイドは日本ストローにとっての輸入品に相当した。全面的な価格競争を回避した点で両社は同じ。

第2に、ゲータレードがマスマーケットからアスリート市場へシフトしたように、日本ストローはマスマーケットを相手にせずにコンビニ市場に集中した。

第3に、ゲータレードと同様に、日本ストローはコア商品にほとんど手を加えずにコア商品の売り上げを伸ばした。

日本ストローのコア商品(ストレートストロー)が本当に変わっていないのかどうか、補足説明が必要だろう。

消費者にとってストレートストローは数十年前と比べてほとんど変わっていない。真っすぐで筒状だ。ここでイノベーションが起きたと思っている人は皆無ではないだろうか。

実際、スマートフォンがガラケー(従来型携帯電話)を駆逐するような破壊的イノベーションは起きていないし、白熱電球がLED電球へ進化するような持続的イノベーションも起きていない。

つまり、ストレートストローというコア商品は基本的に昔のままで残っているというわけだ。

それにもかかわらず日本ストローが輸入品や脱プラ運動に対抗できたのは第三のイノベーションのおかげだ。コア商品周辺で行われる補完的イノベーションによってコア商品の売り上げが伸びたのだ。

環境経営を掲げるコンビニ業界にアピール

日本ストローが展開した補完的イノベーションはいろいろある。前編で紹介したように①滑らかな飲み口②短いリードタイム(発注から納品までの期間)③環境配慮型PHBHの採用――が挙げられる。

ここに顧客セグメントの絞り込みも含めていい。日本ストローは「BtoB(企業間取引)」をテコにして環境配慮型をアピールした。環境経営をモットーに掲げるコンビニ大手をターゲットにしたからこそ、PHBHストローを武器にできたといえる。

日本ストローが製造するさまざまなストロー
筆者撮影
日本ストローが製造するさまざまなストロー

少し考えてみてほしい。消費者にとってストローが環境配慮型かどうかはあまり関係ない。清潔で飲みやすければ十分であり、「環境配慮型ストローがないからあそこのコンビニには行かない」とはならない。

日本ストローはコンビニ業界に対して、さまざまな補完的商品・サービスをパッケージとして提供している。コア商品の売り上げを伸ばすために。