外科の手術でも十分に説明して手術を受けるかどうかを決めるインフォームド・コンセントがかなり普及してきましたが、内科の場合、血圧が高いというだけでろくに説明をせずに、一生使うような量の薬を処方して、飲むように命令するようなことをします。

このように「治療法を自分が納得した上で選ぶ」という考えは、残りの人生を豊かに生きるために必要なもの。特にシニア以降の患者さんにとっては、欠かせない考え方でしょう。

だからこそ、医者がきちんと治療法やそれに付随する副作用を説明した上で、患者さんが今後の人生をどうやって生きていきたいかを丁寧にヒアリングするべきです。

自分で生き方を選ぶことの重要性

しかし、大半の医者はろくに説明もせずに薬だけを処方し、やれ「塩分は控えろ」「酒を飲むな」と無理強いしてきます。人に残りの人生の質を左右するような治療を強制する以上は、エビデンスをしっかりと出して説明してほしいものですが、それすらやりません。

一般的に医者というものは、「患者にとっての人生の幸せというものは、長く生きるということ。薬を飲み続けた結果、長く生きられればそれが幸せなのだ」という価値観を押し付けがちでもあります。

和田秀樹『医者という病』(扶桑社新書)
和田秀樹『医者という病』(扶桑社新書)

その上、医者は自分の考えを否定されるのが大嫌いです。患者から「残りの人生、血圧がちょっと高くてもいいから、こんな味気のないものを食べ続けるのは嫌」「体調が悪くなるから血圧の薬を飲むのは嫌だ」などと言われようものなら、過敏に反応して怒り、患者を叱ることすらあります。

もちろん、その患者さんが「多少寿命が縮まったとしても、もっとおいしいものを食べたい」「血圧が上がって死亡リスクが上がっても、やりたいことをやって生きていきたい」などと自分のQOLを重視した結果、脳卒中や心筋梗塞になったり、予定よりも早く亡くなってしまうケースもあるかもしれません。

しかし、それはその人自身の死生観に基づいた選択です。食べたいものも食べられずにベッドの上で不調に耐えながら長生きするのと、好きなことをやりたい放題やって少しだけ早く死ぬのと、どちらが良いかはその人個人の価値観の問題でしょう。

医者の言葉を鵜呑みにせず、やりたい放題生きるのがいい

さらに、治療の副作用で早死にしたり、かえって免疫機能を落としてがんになったりすることを、医者は考えてくれません。彼らが言う標準治療は、エビデンスに基づいていないものが大半である上、いろいろな調査研究が新たに出てきてもそれを受け入れようとしない石頭の医師が、残念ながら圧倒的多数です。

ただ、本書の読者のみなさんには、ご自身の残りの人生を限りなく豊かにするために、医者の言葉に流されない付き合い方を、ぜひ実践していただきたいと思います。

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