大人になっても視力が下がるなら病気の可能性

20歳を過ぎても近視化が止まらない場合、眼軸が非常に長い強度近視となります。

強度近視は眼球が長く伸びるために、視神経が圧迫されて血流も悪くなり、多くが緑内障となります。また、網膜が伸び切ってしまい、網膜の端である鋸状縁近辺で網膜に裂け目が出ます。これが大きくなると網膜剥離となるのです。

強度近視は病気であり、メガネでも視力矯正は難しくなります。

6歳から12歳までの子どもは、太陽光を浴びて膠原線維を太く硬くすることで、眼軸が伸び続けて強度近視となるのを防ぐとお伝えしましたが、紫外線によって膠原線維を太くすることで眼球の硬さを保つ方法は、大人にも効果的で、紫外線で近視治療をする機械があります。

紫外線吸収率を上げるビタミンB点眼をして、医療用紫外線を目に30分浴びせる方法です。しかし、大人は子どもにくらべて新陳代謝が悪いので、紫外線による細胞障害が起きて、白内障を進めてしまう可能性もあり、マイナス要素もあります。

強度近視の場合、比較的若い人でも軽い白内障があるならば、白内障手術で多焦点レンズ移植術を行えば裸眼で1.2以上の視力が出て、どこもよく見えるようになります(乱視・老眼も治ります)。白内障がない場合には、有水晶体眼内レンズのICL移植での近視矯正治療ができます。

かゆくても、目をこすってはいけない

目を大切にするために、してはいけないことがあります。

それは、「目をこすらない」ということ。なあんだ、そんなこと? と思うなかれ。目が何ものにもまもられていない、むき出しの臓器であることは先述したとおりですが、衝撃に「劇的に」弱いということを何度も強調したいと思います。

眼鏡を上げて、目をこすっている女性
写真=iStock.com/seb_ra
※写真はイメージです

私はよく「豆腐のように扱ってください」と言いますが、まさに、ぐちゃっとつぶれてしまうような、やわらかく繊細なもの。そんな目を「こする」ことは、非常に大きな衝撃を目に与えてしまいます。

近年、アレルギー疾患が非常に増えています。毎年2月頃からスギ花粉が飛び始めますね。2023年は前年より10倍も多かった、などとニュースで報じられていました。

目がかゆいと、しょっちゅうこすったりします。このアレルギーのひどい人にはアトピー性皮膚炎がある人もいます。目をこすったり、軽く叩いたりする力は大したものではないですが、毎日、何百回もこすっていると、外傷となります。

プロボクサーが顔に受けるパンチなどによって、目に外傷を受け、網膜剥離や白内障を起こすことがありますが、そのような選手たちも、数多く深作眼科を訪れます。そんなボクサーたちと同じように、目をこすることで、それと同じ症状を負うことがあるのです。