勉強ができる子はなにが違うのか。心理学博士の榎本博明さんは「IQ(知能指数)が高いからといって、勉強ができるとは限らない。重要なのは。我慢する力や自分をコントロールする力といった『EQ(こころの知能指数)』の高さだ」という――。(第1回)

※本稿は、榎本博明『勉強ができる子は何が違うのか』(ちくまプリマー新書)の一部を再編集したものです。

eラーニングコースを受講するヘッドセットを身につけている少年
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「知能が高い=勉強ができる」は間違い

勉強ができるようになりたいというとき、まず頭に浮かぶのは学校の成績だ。でも、成績というのは学んだ成果をあらわすものにすぎない。成績の背後で働き、それを大きく左右するのが学ぶ力である。いわば、成績を生み出す元になる力だ。

勉強ができるようになるために大切なのは、この学ぶ力をしっかりと身につけることである。学ぶ力が身につけば、学んだ成果としての成績も自然に上がっていく。

このように言うと、「それって知能のことでしょ。知能は遺伝で決まってるんだから、今さらそれが大事だなんて言われても困るよ。自分にはどうにもできないんだから」などと言う人もいる。でも、その考え方は二つの意味で間違っている。

まず第一点として、知能に遺伝要因が深く関係しているのは否定できないが、最新の研究データをみても、知能には遺伝要因と環境要因がほぼ半々の割合で関与していることがわかっている。つまり、知能の五割は遺伝要因で決まっても、残りの五割は環境要因で決まっていく。ということは、自分にはどうにもできないものなどではないのである。

さらに第二の点として、知能がそのまま学業成績に直結しているわけではないということがある。