手に届く価格帯、身近なブランドであり続ける

ジュエリー事業全体が好況に転じている一方、ブライダルジュエリーの強化も急いでいる。婚約、結婚のエンゲージリング、マリッジリングをはじめとするブライダル市場では「地殻変動が起きています」と瀧口氏は話す。人のライフイベントでも最も大きな一つであろう。

「とくにコロナ禍では大きな打撃を受けました。カップルの方たちが結婚式をできないし、新婚旅行にも行かれなくなった。だから、記念の指輪だけは高価な物を買おうという方々が増えて、外資系ブランドばかりが大きく伸びることになってしまった。本来、4℃のブライダルジュエリーは年間を通じて伸びつづけている重要なマーケットでした。国内の婚姻組数が減少していくのは、少子化もあって致し方のない傾向です。いまはまた、本体のファッションジュエリーを事業としてもしっかり輝かせると同時に、ブライダルジュエリーも、マーケットの変化を見据えながら当社も対応していくことが構造改革でもあるんです。コロナ禍から抜け出しつつあるいま、ブライダル事業にも力を入れていきます。大型投資もつづけていますし、その分、ブランド価値は確実に上がっています」(増田氏)

手の届く価格帯でありながら、身に着ける人の充足度を満たし、同時に一定のステイタスにもなる。戦略を描くのが難しいビジネスゆえであろう。

それでも4℃が主体とするのは「ミドルライン」の価格の商品であると瀧口氏は強調する。

「オンライン販売では、10万円を超えるような商品は、そう簡単には売れません。価格帯としては、やはりミドルラインの商品が店頭で売れるように、これからもしっかりと努力していきます。お客さまの日常に寄り添い、お客さま自身を輝かせるブランドであり続けるために商品力を強化し、ブランド価値を高めていきたい」

ヨンドシーHDの増田英紀社長(右)と、ジュエリー事業を担うエフ・ディ・シィ・プロダクツの瀧口昭弘社長
撮影=プレジデントオンライン編集部
ヨンドシーHDの増田英紀社長(右)と、エフ・ディ・シィ・プロダクツの瀧口昭弘社長。変えてはいけないことを守り抜き、変えるべきは変えていく――。2人の挑戦はこれからも続く。
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