定番といえるデザインの商品も充実させた。定番商品の比率は、売り上げベースで全体の60%を占め、同業他社にはない4℃の特徴となっている。

「丸(円)い顔の方、三角に近い顔の方、細長い顔の方というように、顔の形のタイプだけでも人それぞれです。だから、4℃では外資メーカーにはないような、多くの方にフィットできるように、しっかりとした品ぞろえをしている。定番商品も国内ではわれわれがいちばん持っています。『ジュエリーは身に着けて初めて完成する』という考え方のもと、豊富に在庫を持って、お客さまのお好みに合わせてご提案できるようにしてきました」

そして、4℃のユーザーに広く好まれる流線型、ハート型、しずく型、馬蹄ばてい型(U字形)など定番の商品であっても「鮮度」を重視しているという。

増田氏は「定番の商品もそろえながら、シーズンごとにデザインが変わった“鮮度”のいい新製品を発表していることだけでも、当社の大きなアピールポイントになると自負しています」と強調する。

増田社長
撮影=プレジデントオンライン編集部
他ブランドにはない「商品鮮度」がヨンドシーにはある。これが女性客からさらに支持を集める大きな要因の一つになった。

新商品の発表は年7~8回に増やす

「年に4度のシーズンに加え、さらに新製品の発表機会を増やして、一年に7回、8回と新コレクションを発表してきました。ジュエリーメーカーとしてはとてもたいへんなことなのですが、業界の異端児といっていいほど、独自性を打ち出してきています」(瀧口氏)

増田氏は「商品鮮度」ともいった。

「新規のコレクションを次々に増やしていますから、商品鮮度は確実に上がっています。同時に、顧客管理を強化して、来店頻度の向上に取り組んでいます。数年に一度から、一年に一度、半年に一度、3カ月に一度というように、お客さまの来店頻度を上げることで“自家需要”を高めることにつながっていると思います」

同時に、デザイン性では、他ブランドにはないオリジナリティーを追求している。2021年に誕生した新ブランド「4℃ HOMME+(ヨンドシーオムプラス)」の製品にもそれは表れている。

ネックレスやブレスレット、リング、イヤカフといった商品が並ぶ。瀧口氏は、「シンプルでタイムレス、フォーマルからカジュアルまで幅広く使えるデザインであることを重視しています。シルバー、プラチナ、18金イエローゴールドをコーティングしているのも特徴です」と話す。

「多様性の進む社会に対して、ジェンダーレスラインのブランドとして生み出した『4℃ HOMME+』は、男性にもご愛用いただけると好評で、6割強を女性のお客さまに買っていただいています。まだ過去の記憶のままでいるお客さまもおられるので、価格だけにとどまらず、洗練された製品の鮮度をより上げて、商品、広告と、あらゆる面で変えつづけ、4℃の“いま”をお伝えする努力をしています」

変えること、変えてはいけないこと

男性客から女性客へ、ギフトとして贈られるだけでなく女性が自ら買い求めるジュエリーへ――。そうした転換への取り組みが実を結びつつある。

「従来は男性のお客さまが圧倒的に多かったんですが、お客さまの男女比は年々変わる傾向にあります。昨年、ほぼ男女同数となって、ことし辺りは逆転して女性のお客さまが多くなる見通しです。たとえ1万円の商品であっても50年、100年と愛用していただけるジュエリーを積極的に開発していきます」(瀧口氏)