イーロン・マスクは昭和スタイルの熱血社長

ところがマスク社長はXでの発言もSpaceでも実に単刀直入。良いものは良い、良くないものは良くないとはっきり言います。見ず知らずの一般ユーザーの質問にも返答します。まるで大学のイベントやラボのメーリングリストです。彼のタイムラインにいると、一般ユーザーの自分も同じプロジェクトにいるような気になります。

私はこんな経営者を見たことがありません。納得しないことがあれば、Appleの社長でもマスコミでも、いきなりXでメンションを飛ばして質問します。単刀直入です。相手の会社にたった一人で出かけていって話をします。まるで昭和の中小企業のおやじさんではないですか。こうして彼は以下のことをXでやっています。

・経費の無駄遣いはするな
・無駄な会議はやめろ
・嘘をつくな
・透明化しろ
・会社に来てみんなで一生懸命働け
・製品の品質をアップしろ
・ユーザーの声を聞け

作業着にしているオタク向けのTシャツで、ピザとSFが大好きな社員と汗を流し、オフィスのソファで寝て、ラーメン二郎とカフェイン抜きのダイエットコークが大好きで、メッセージは一行のみ。ユーザーになにか頼まれれば「俺がやってやるよ」という。世界一の富豪は、実は昭和スタイルな熱血社長だったのです。

リスク回避に忙しい人は変革をもたらさない

ハイテク社長の本質は、世界一速いバイクをつくりたかった本田宗一郎、外に音楽を持ち出したかった盛田昭夫でした。この熱意と泥臭さは、零細自営業者やイラストレーターなどを少額決済が可能になったことで自活できるようにし、地上に戻ってくるロケットを創り出し、自動運転が可能なトラックを走らせているのです。

谷本真由美『世界のニュースを日本人は何も知らない5』(ワニブックスPLUS新書)
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これまでもてはやされてきた金融ゲームやアボカドスムージーを飲みながらヨガをやるマネジメントは終焉しゅうえんを告げるでしょう。彼らはタピオカ入りドリンクを飲みながら、差別と環境に関するおしゃべりをするのに多忙すぎて変革をもたらさなかったのです。

ウクライナで命をかけて泥だらけの塹壕で戦う人々と同じように、世界を動かすのはシンプルさ、真摯しんしさ、熱意、正直さなのです。

欧米でも若い人たちに日本の昭和歌謡やシティポップが流行っていますが、それは彼らがダサいけれども熱意があった時代に惹かれているからではないでしょうか。

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