日本の「窓際族」は働き方の最先端だった

仕事や会社に入れ込まず必要最小限のことしかやらず、定時上がりの「Quiet quitting」をめざす従業員は一見問題がありそうです。でも自分の責任範囲がはっきりしており、やるべきことは定時内にきちんと済ませるので信頼に値する人だとの指摘もあります。

このような社員は会社に過度の期待をしないので、昇進や権限についても感情的にならないうえに裏工作をするようなこともなく、コンプライアンス違反もしません。やることが決まっているので透明性も高いのです。

たとえばソフトウェア業界のコムピット(Compt)のジョー・アリム氏は、2022年8月に『ワークライフ』(worklife)のインタビューに答え、「定期的に給料が支払われることに完全に満足している人もいるし、彼らは決められた範囲の責任をきちんと果たすんですよ。この人たちはもっとも信用できる」と述べています。

日本では以前より役所や大企業で、朝から濃い緑茶を飲み一日中スポーツ新聞を読み漁り、窓際状態を維持する趣味人が存在していました。この人々は時代の最先端を歩んでいた「人生の意味を理解している人々であった」ということです。日本はポストモダン社会で、なんでも先取りしているのです。

綺麗事が大好きな欧米の経営者たち

Twitter(現X)の買収で話題になっているイーロン・マスク社長。

私は「ツイッター廃人」(ツイ廃)なので、彼の改革がどのように進むか目が離せず、毎日欠かさずイーロン・マスク社長のツイートをウオッチし、音声を使ったリアルタイムの会話機能であるTwitterの「Space」も逃さず聞いていました。

彼の発言に触れれば触れるほど大変おもしろいことがわかります。

欧米の経営者はかなり表層的で、軋轢を生みたくないので外交的な発言ばかりします。ようするに綺麗事が大好きなのです。なぜなら綺麗事を言っておかないと、ありとあらゆるところに敵をつくり攻撃されるからです。

これらの国の企業はCSR(企業の社会的責任)や差別反対、環境への配慮などに熱心なように見せかけています。あくまでリスク回避のためです。とはいえ本心で思っている経営者は多くはないでしょう。なにしろ会社で実際に働けば利害関係バリバリ、思いやりなど一切なく冷徹で、とにかく自己中心的だからです。