地方の富裕層がセカンドハウスとして買う場合もある

こうした魅力あるタワマンを実際に購入しているのは誰なのか。例えば、東京都心の1億円以上、2億、3億を超えるような超高額物件を購入する層は、当たり前ではあるが富裕層である。都内の富裕層に加え、地方の富裕層がセカンドハウスとして、また華僑を中心とした外国人が投資目的で購入するケースも増えてきている。

アパートの建築模型を持つアジア人男性の手
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

特に、地方の富裕層は、思いのほか東京訪問が多かったりする。商談や会議に視察、講演会やセミナーへの登壇や参加といった出張、プライベートでは、観劇や、ラグジュアリーブランドや大手百貨店主催のイベント参加、都内観光や会食、羽田や成田経由での海外旅行もある。東京のタワマンを所有するというステータスや投資観点に加え、自らセカンドハウスとして利用ができ、また、東京の大学に入学した子息子女の拠点などにも活用が可能なのだ。

富裕層のなかでは、開業医や自営業者、IT関連や不動産関係者などが多く、立地などにもよるが、購入目的は、セカンドハウスや投資用と自宅用が半々のイメージだったりする。

もっとも、全国に広がる全てのタワマンが1億円以上の価格であり、富裕層が所有を独占しているワケではない。豪華さや値段の高さが話題になりがちだが、実際のタワマン物件は価格も設備も様々だ。総戸数が多く賃貸物件もあるため、中古市場でも多くの物件が売買されている。

最上階のペントハウスなどを除けば、首都圏近郊や地方の物件に加え、都心部や湾岸部でも中古物件などでは、1億円未満の物件も数多く存在している。こうしたタワマン物件では、上述したようないわゆる富裕層ではなく、大企業や外資系企業のサラリーマン層や、世帯年収1500万円程度のパワーカップルや共働き世帯、土地持ち貯蓄持ちのシニア層などが多かったりする。

朝のエレベーター渋滞は相当なストレス

豪華できらびやかなイメージのタワマンにもデメリットはある。例えば、建物全体の荷重負担の軽減のために軽い素材を利用するため、隣接する部屋からの生活音や話し声に加え、「風切り音」、駅直結マンションでは電車の音による騒音などが気になる場合もある。

ドラマやネット上でも面白おかしく取り上げられるタワマン高層階の住民による低層階の住民を見下すマウンティングや、管理組合の活動も大規模なものとなり、他の住民と遭遇したり、人付き合いもそれなりにあったりする。

細かい話かもしれないが、タワマンの場合、朝の出勤時などにエレベーターがなかなか来ずに行列ができて渋滞する、一旦エレベーターを乗り換える必要がある、さらに、地下の駐車場まで行かないといけないなど、タワマンの自分の部屋から外に出るまで、それこそ10分以上時間がかかる場合もある。これが毎日のことだと相当ストレスだ。

更に深刻なのは、地震や台風などで電力供給が途絶えることで、エレベーターやトイレなどが使えなくなり、ライフラインが止まってしまうことだ。

2019年10月の台風19号による浸水で、武蔵小杉のタワーマンション1棟では、電気も水道もエレベーターも使えなくなり、完全に元の生活に戻るまでに1カ月近くかかったという。