都内の高級タワーマンションを買っているのは富裕層なのか。金融アナリストの高橋克英さんは「投資対象や相続税対策、地方の富裕層がセカンドハウスとして購入する場合はある。だが、終の棲家としてわざわざ選ぶことは少ない」という――。
マンションの部屋
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「カーギャラリー」付きの部屋まで登場

JR大阪駅北側の「うめきた2期地区」で再開発を進める積水ハウスなどは10月、建設中のタワーマンション「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」の最上階の1部屋を25億円で分譲すると発表した。関西のタワーマンションで過去最高額を更新する。「王宮」をテーマにした46階建てタワマンの総戸数は484戸で2024年2月から販売を始める。

このうち、28戸は、専用エレベーターによって愛車で部屋まで乗り入れでき、リビングに「カーギャラリー」を併設するという、フロリダやシンガポールなど海外の超高級コンドミニアムのような豪華さだ。

東京カンテイによると、20階以上のタワーマンションのストック総数は、2022年12月末時点で1464棟(38万4581戸)という。タワマンは38都道府県で確認でき、最多は東京都の470棟で全国シェア32.1%。首都圏全体でのストック棟数は776棟と全国シェア53.0%を占める。

東京都に次いで多いのは大阪府で263棟。以下、神奈川県、兵庫県、千葉県、埼玉県と続いている。地方圏では、北海道(30棟)や宮城県(37棟)、広島県(27棟)や福岡県(46棟)といった地域が目立つ。2022年に竣工しゅんこうしたタワーマンションは、全国で32棟(8774戸)。

なお、2023年竣工予定のタワーマンションは2022年12月末時点の集計で47棟(1万3862戸)と、戸数規模は2年ぶりに1万戸の大台を回復するという。

すばらしい眺望、豪華な共用施設、駅近の利便性

圧倒的な景色、夜景、空間。東京の都心や湾岸のタワマンでは、リビングや寝室から新宿副都心の高層ビル群や、東京タワー、東京スカイツリーを望むことができ、窓一面にきらびやかな宝石のように広がる夜景はまさに絶景だ。

総戸数が1000戸を上回るような大規模なタワマンでは、豪華な共用施設も売りだ。夜景を眺めながらワインを飲めるバーやレストランにパーティールーム、サウナ付きの広々としたスパやジムに室内プール、複数のゲストルームやキッズルーム、コワーキングスペースなどもあったりする。フロントにはコンシェルジュが常駐し、ホテルのような至れり尽くせりのサービスを、タワマンに住みながら、利用できる。

立地もタワマンの大きな魅力だ。利便性の高い主要路線の駅から徒歩5分以内のタワマンが大半であり、ターミナル駅に直結していたり、大型商業施設と地下でつながっているタワマンもある。

タワマンはその高さもあり、エリアで最も目立つランドマークであることも多い。タワマンを購入できるような購買力が高い層が集まることで、飲食店などの集積も進み、タワマンを含むエリア全体のブランド力が増すことで、タワマンの資産価値も保たれることになる。

特に、高級住宅地を多く抱える東京の都心3区などは、タワマンを含む高級マンションの供給量そのものが極めて限られており、希少価値が増すことで、更なる資産価格の上昇に繋がっている。