自発的な意思決定力へ磨く“たった1つ”の方法

このお話は私のスクールでの出来事ですが、きっと皆さんも、似たような経験をされたことがあるのではないでしょうか。

こんな事象を私は「どこまでが自分の仕事かわからないんです」症候群と名付けています。私たちには、一歩踏み出すことを躊躇する思考パターンがあるようです。

私がコーチングをしている最中でも「どこまでが自分の仕事かわからない」という言葉を、お客様からお聞きすることが多いです。そんなときには決まって、「どこまでだと思いますか?」と聞くようにしています。

そう、「わからない」は話の終わりや行き止まりではない。そこから、想像力を膨らませて再出発することができるのです。

ときには、こんなふうに言って背中を押すこともあります。

「誰がやるかが明確になっていない仕事なんだから、あなたが『やる』と決めればそれで決まりじゃないですか。そもそも、自分の仕事の垣根を越えて、どこまでできるかやってみる。それがイノベーションの入口じゃありませんか?」

私のこの言葉を聞いて、「そうか、自分で決めていいのか!」と気づきを得てくださる方もいます。

林健太郎『できるリーダーになれる人は、どっち? 話し方・考え方・聞き方……「ここ」で差がつく!』(三笠書房)
林健太郎『できるリーダーになれる人は、どっち? 話し方・考え方・聞き方……「ここ」で差がつく!』(三笠書房)

与えられた仕事をこなすだけでは、自発的な意思決定力は磨かれません。

「どこまでが自分の仕事かわからないんです」症候群から勇気を持って抜け出すことができれば、より力強く、能動的な意思決定ができるのではないでしょうか。

そして、もしそんな意思決定ができれば、自分がその仕事の中核になれます。

そうやって自分で決めた瞬間に、「与えられた仕事、やらされている仕事をこなしている状態」から、「自分でやりたい仕事を、やりがいを持ってやる状態」に変わるのです。

それこそがイノベーションの入口、そしてリーダーへの入口になるのです。

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