「とろろ」「味がしない」と批判の嵐

冒頭で上間さんが話した番組は、2020年7月17日に放送されたテレビ朝日「マツコ&有吉 かりそめ天国2時間SP」。見掛け倒しで食べると味にがっかりする果物が話題になった後、出演者がスタジオに用意されたドラゴンフルーツを食べた。

ドラゴンフルーツを口にした有吉さんはしばらく沈黙した後「(味の方向性を)ビシッとしろよ!」と痛烈にツッコミ。マツコさんも「なんかやっぱり……」とお気に召さない様子だった。

他の果物については「おいしい」との意見がある中、ドラゴンフルーツについてはその後も「とろろ食ってんじゃねえんだから」「(他の果物の後に食べて)余計味がしなくなった」とバッサリ。最後には「味付けしてない里芋」との感想が飛び出し、酷評の嵐だった。

「国産を食べたらもう輸入品は食べられない」

上間さんは、番組が輸入品を用意したのだろうと推測する。

著者撮影
上間さんが読谷村で栽培しているドラゴンフルーツ

「ドラゴンフルーツは木になった状態でしか完熟しません。輸入品は、完熟しないものを早くに収穫して持ってきているので、おいしくないのは当然」

収穫後に追熟しないので、鮮度の良しあしが味を大きく左右する。

ドラゴンフルーツの生産が盛んなベトナムでは、鮮度がよく完熟したものが流通する。東南アジアを旅行して食べたドラゴンフルーツがおいしかったから、帰国して買って食べたらまずかったという話をよく聞くと上間さんは話す。

「本土のスーパーに輸入品が並ぶのは、物珍しさで買ってもらえるから。僕らのような国内の生産者が作っている鮮度のいいものを一度食べたら、輸入品は食べられない」

国産の価値は、完熟したものを鮮度の高い状態で供給できることにある。だが現状は流通量が極めて少ない。上間さんの作るドラゴンフルーツはおいしいと評判で、地元の売り場に出せばすぐ売り切れる。

いつかマツコさんに食べさせたい。そのことに加えて、上間さんは壮大な夢を思い描いている。沖縄をドラゴンフルーツ王国にしたい――と。