例えば、浮気をしがちな人は、モテる人でもあります。そして、モテる人の条件のひとつには、「聞き上手」であるということが挙げられます。聞き上手な人には、ついなんでも話してしまうものです。さみしい人ほど心の隙間を突かれ、話を聞いてくれるからということで、恋人、夫や妻、家族以外の人に拠り所を見つけてしまうのです。

また、聞き上手は、話を聞くだけではなく、自尊心をくすぐりこちらを肯定する言葉で寄り添ってきます。あまり互いのことをよく知らない間柄であるにもかかわらず、無警戒に自分の話をしてしまうときは、自分がさみしい状態だということを意識するといいかもしれません。

「話を聞いてくれる人=いい人・信用できる人」ではないということも意識しておくべきでしょう。人の話を聞くことは、脳にとっても相当な負担がかかる作業です。仲のいい友だちや家族であっても、真剣に話を聞くのは、なかなか難しいものです。

それを真剣に、あるいは真剣さを“装って”聞く人には、それ相応の意図があるのかもしれないのです。

高齢者を狙う詐欺は「返報性の原理」を使っている

ハニートラップにかかってしまいやすい人や、話を聞いてくれる相手を信用し、不倫関係や浮気相手になってしまう人は、そもそも人というのは、人の話をなかなか聞かないものだということを知って、警戒する気持ちをどこかに持っておく必要があるかもしれません。

公園で車椅子の老人男性の手を握る若い女性
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結婚すると思わせて相手の財産を奪う結婚詐欺や、妻を亡くした男性と実際に入籍して法定相続人になることで相手の財産を相続する「後妻業」など、超高齢社会を迎えた日本では、こうした法律と倫理の隙間を狙った、高齢者をターゲットにした詐欺や詐欺まがいのことも今後、増えてくるとみられます。後妻業が成り立つ背景には、高齢者が抱える老いへのさみしさや、孤独死への恐怖といった心理があるのでしょう。

そんなときに、「若い恋人が親切にしてくれて、結婚までしてくれるのだから財産など惜しくはない」「ともに未来は築けないが、せめて自分の財産でその愛情に報いよう」などと考えてしまう。ここには、「返報性の原理」があると考えられます。

返報性の原理とは、相手から厚意や恩を受けた場合、そのあとで自分も相手に「お返し」をしたいと感じる心理のことです。相手から受けた厚意に対し、自分もなにかお返しをしなければという気持ちが生じるのです。

後妻業も、老いへのさみしさや、孤独死したくないという高齢者の心理と返報性の原理を悪用した詐欺といえるでしょう。