大学などでも、地方から出てきたばかりで、ひとり暮らしにさみしさを感じているような学生が狙われやすいといわれます。サークル的な軽いノリと、一時的に少額の出費で活動させることで被害が表面化しにくくなっているものだと推測されます。

「こんなサークルに誘われているのだけど、どう思う?」と、現実に相談できる、信頼できる人が身近にいさえすれば、こうした集団に付け込まれないための防波堤になるのですが、そもそも、そうしたつながりを持たない人や、「自分は孤独で誰も理解してくれない」といった強いさみしさを抱えた人がターゲットにされやすいわけですから、とても対応策が難しいのです。

「真面目な人ほど騙されやすい」という皮肉

「このままだとご家族に大きな不幸が訪れますよ」

そういって高価な商品を売りつける霊感商法などは、相手を動揺させ、パニックに陥れて理性的な判断をできるだけ妨害するような手口を使います。

あやつり人形と、それを操る指
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人間は、不安や焦りによって心に余裕がない状態になると、平常時には考えられないような判断をしてしまうことがあります。騙されてしまいやすい人は、真面目で誠実、努力家で、忍耐強いのが特徴です。

どこまでも忍耐強く努力し続けられるのは、自身でも「これはいい行動だ」と判断し、自分が努力している状態そのものに対して脳の報酬系(なにかを達成したり誰かに褒められたりしたときなど、欲求が満たされたとき活性化し、気持ちよさ、幸福感などを引き起こす脳内のシステム)が活発になって、快感を生み出している状態と考えられます。

つまり、努力しているということ自体が達成感という報酬を生むので、その快感を求めて、また努力し続けてしまうというわけです。ここに罠があるのです。なにも達成しないまま努力と我慢だけで満足させられる状況が形成されてしまうと、いつしか努力することと我慢すること自体が快感となってしまいます。一種の中毒状態に陥るのです。

そうなると、もはや冷静な判断ができず、悪意ある他人に操作されやすい状態になってしまいます。真面目で努力家の人ほど、さみしさという心の隙間に付け込まれると、騙されやすいという特徴があるといえますが、なんとも世知辛い話です。

「真剣に話を聞いてくれる人」を信用してはいけない

カルト宗教や怪しい新興宗教の勧誘など、言葉巧みにさみしさの隙間を突いて操ろうとしてくる人の危険性についてお話しましたが、話すことや言葉で支配するのとは逆に、「聞き役」に徹することで信頼を得て、相手を騙したり、支配したりすることもあります。