いかに相手にしゃべってもらうかがコツ

そこで、私が心がけたのは「会話型説明」です。

自分の話が長くなったなと感じたら、次のように投げかけます。

「ここまで大丈夫ですか?」
「ここまでで質問はありませんか?」
「どこかわからない点はありませんか?」

すると相手は、「大丈夫です」とか「ちょっと質問があります」などと答えてくれます。つまり相手にしゃべってもらうことで、一方通行の説明ではなく会話をしながら説明している状態を作るのです。

私は講演などで大勢の人を相手に話すときにも、同じことをしています。

こうすることで、聞き手は自分に寄り添って話してくれていると思いますし、こちらとしても話しやすい状態を作れます。

そうすると、ぎこちない説明でも十分に相手に伝わるのです。

私は相手の気持ちを気にしすぎるタイプなので、ちゃんと聞いてくれているかがとても気になります。多くの「内向型」の人も同じではないでしょうか。営業ではむしろ、それが強みとなるのです。

握手をする2人のビジネスマン
写真=iStock.com/Robert Daly
※写真はイメージです

話そうとすればするほど空回りした

私は子供の頃から「静かな子」「おとなしい子」でした。学校に行ってから帰ってくるまで、誰ともしゃべらない日もよくあることでした。それが苦痛でもなかったので、ことさらに人と話そうとも思いませんでした。

ただ、社会人になるとそうもいかなくなります。

仲間に誘われて飲みに行っても、会話に入っていけません。黙っていると気をつかわれて話しかけられたりもしますが、適当な返しもできずにすぐに会話が途切れます。つまらないヤツだと思われていたことでしょう。

何か言おうとは思うのですが、どんな言葉にするべきかなどと考えてしまい、結局、言葉が出ないまま終わってしまうことが多いのです。

ポンポンとテンポのいい会話で場を盛り上げている人を見ると、どういう脳の構造をしているのかと驚くばかりでした。

なんとか話題をひねり出そうと、本で覚えた面白いネタを突然話し出して、相手をキョトンとさせたことが何度もあります。いま思い返しても痛々しいヤツだったと思います。