ほとんどのクルマが採用するようになったが…

ちなみに、ハイブリッドカーは、エンジンとモーターという2つの動力源を持っています。その2つの動力源は、それぞれ特性が異なっています。エンジンは低回転で力が出にくく、回転数が増えるほど力が出ます。一方、モーターは低回転で力が出ますが、高回転は苦手。そのためハイブリッドカーは、停車したらエンジンを止めて、発進は低回転の得意なモーターに任せるという方法を採用しています。

ですからハイブリッドカーは、基本的にアイドリングストップを行います。ただし、バッテリーの電気の残量が少ないときは、エンジンを動かしっぱなしにするため、アイドリングストップを行いません。

そして、アイドリングストップを実施すると、確実にクルマの燃費性能は向上します。そのため、最近では、ほとんどのクルマが採用するようになりました。

しかし、アイドリングストップにも弱点があります。

エンジンボタン
写真=iStock.com/D. Lentz
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エンジンの再始動に運転手はイライラ

まず、燃費削減になる条件が意外と厳しいということです。一般的には15秒以上の停車時間がないと、燃費向上の効果が期待できないとされているのです。5秒や10秒の停止ではアイドリングストップをやってもやらなくても燃費は変わりません。

また、再始動に時間がかかり、しかも再始動時にブルブルと振動が発生します。そして、何度もエンジン始動を繰り返すため、負荷がかかるバッテリーには高い性能が求められます。燃費向上によってコストが減るどころか、むしろコスト増となってしまうのです。

さらに使い勝手面でも不利。信号での停止ならまだしも、右折しようと停止した時には困りものです。止まったエンジンを再始動させる時間は、アイドリングストップの普及と共に、だんだんと早くなっています。それでも、再始動にかかる時間はゼロにはなりません。

右折しようと、対向車の切れるタイミングを見計らっているときに、すぐに発進できないというのは、正直、ストレスになります。渋滞も同様です。特に、止まったり進んだりという、ノロノロとした渋滞で、いちいちアイドリングストップが働くと、渋滞のクルマの流れにあわせにくくなります。