レンタルすればいろんな車に乗ることができる

車の所有よりレンタルが好まれるようになったのは、TPOに合わせていろんな車に乗った方が便利だからでもある。

並んでいる車
写真=iStock.com/Tramino
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家族でキャンプに行くときは大型SUV、1人で湾岸道路を走りたいときはスポーツカー、近所にちょっと買い物に行くなら軽自動車など、最適な車はそのときどきで変わるけど、すべての車種を自宅にそろえておくのは不可能だ。その結果、ベンツでコンビニに行っておにぎりを買う、みたいなことになってしまう。

AIがどんどん賢くなることで、近い将来、車はすべて自動運転になるといわれている。スマホをいじるだけで、どこでも数分以内に自動運転のタクシーがやってくるようになれば、誰も車を所有しようなんて思わないだろう。

車をシェアするのが当たり前になると、「マイカー」という言葉は死語になる。だとしたら「マイホーム」はどうだろう。

家もTPOに合わせて借り換える時代に

いまの日本では、むかしのように、ひとつのところにずっと住むことはなくなってきた。

新卒でたまたま入った会社に40年も勤めつづけるひとは、どんどん少なくなっている。20代や30代ならいくらでも転職できるし、国内で移動するだけでなく、海外で働くこともこれから増えていくだろう。そのたびに家を買い換えるわけにはいかないから、会社の近くにアパートやマンションを借りる方がずっとかんたんだ。

結婚して子どもが生まれれば、子ども部屋のある広い家が必要になるだろう。都会では私立学校だけでなく、公立学校も(高校だと)自由に選べるから、第一志望に合格しても家からすごく遠かったりするかもしれない。そんなときも賃貸なら、子どもの学校の近くに引っ越せばいい。

子どもが独立すれば広い家はいらなくなる。年をとって田舎暮らしをしたいひともいれば、便利な都心に住みたいひともいるだろう。人生の最後を高齢者向けの賃貸住宅で過ごすこともふつうになった。

これは社会が流動化し、ひとびとの価値観が多様化してきたからだ。そんな新しい時代には、TPOに合わせて服を着替えるように、ライフステージに合わせていちばんぴったりの家に借り換えていくひとたちが増えてくるだろう。