もっとも妊娠しやすい日は排卵日ではない

そして、じつはもっとも妊娠しやすい日は排卵日ではありません。

妊娠を希望する女性たちを調査した2002年の研究報告(図表1)によると、妊娠に至ったセックスの多くが、排卵日の5日前から排卵日までの6日間に行われたものでした。

【図表】妊娠のチャンスは6日間ある
※『不妊治療を考えたら読む本最新版〉』(講談社ブルーバックス)より

自分たちで妊娠しやすい日を探す場合は、市販の排卵検査薬を使うことが多いと思います。しかし、LHが出始めるのは排卵の36時間くらい前と言われていますから、妊娠しやすい期間の前半では、まだ排卵検査薬が反応しません。でも、妊娠する可能性がけっこうあるのです。それどころか、研究報告ではもっとも妊娠しやすいのは、排卵日の2日前でした。

多くの人がいちばん妊娠しやすい日だと思っている排卵日当日は、妊娠は可能ですが、じつはそんなに妊娠率が高いわけではありません。

排卵日にこだわることにほとんど意味がない

排卵が起きると、精子の通り道である頸管粘液(おりもの)は急速に減少し、性状も変化します。卵胞が破裂してしまったのですから、頸管粘液を増やす作用があるエストラジオールを盛んに出していた顆粒膜細胞もなくなってしまうわけです。

排卵検査薬が陽性になったら、その日か翌日だけがチャンスなのだと思い込んでいる人も少なくないのですが、実際はこのようにチャンスはもっとたくさんあります。

そもそも排卵は、起きる前に自分で正確に推定するのは難しいものです。ですから、排卵日にこだわることにはほとんど意味がないのです。妊娠可能かもしれない1週間をおおまかに把握する程度でよいと思います。