インバウンドが求める3つの改善点

逆に、インバウンドが求める改善点は何だろうか。こちらもここ数年不動であるが、

①英語、②キャッシュレス、③ネット環境が挙げられる。

①英語に関しては、英語対応の案内板やアナウンスの不足だ。地方などでは特に、英語が通じず困るケースが多いという。また、英語だけでなく、韓国語や中国語などを含む多言語への対応も求められている。

②キャッシュレスにおいては、現金のみの取り扱いも多く、例えば、小売店やバスや電車など公共交通を利用する際に、クレジットカードや電子決済のタッチ決済が使えないことが挙げられる。なお、スピード感はともかく、普及率は改善してきてはいる。

言葉やお金以上に、最も致命的なのが③ネット環境だろう。今や旅行の必須アイテムとなったスマホ。空港到着と同時に、追加料金や別プランなしにそのまま自国と同様に携帯電話やネットサービスが使えるスマホも増えているものの、旅先で、通話もできない、検索も予約も翻訳もできないなど、普段スマホやネットでの生活にどっぷり浸かっている人ほど、その落差と不満は大きい。

さすがに日本においても、多くの宿泊施設や公共施設での無料Wi-Fiが利用できるようになったものの、いちいちパスワードや登録が必要だったり、接続が悪かったりする。

また、コロナ禍下の需要低迷やコストの観点から、公共施設や提携場所での無料Wi-Fiを廃止したケースも散見されており、まだまだ問題は解決しそうにない。

公共の無料Wi-Fiステーション
写真=iStock.com/bluesky85
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実は「困っていない旅行者」も多い

参考までに、コロナ禍前になるが、2019年に観光庁が行ったアンケート調査では、訪日旅行中全体を通して「困ったことはなかった」という回答の割合が過去最高の38.6%となり、継続調査している各項目の全てにおいても「困った」の割合が減少している。

個別項目では、従前から困った割合が高かった「施設等のスタッフとのコミュニケーション」は前年比3.6%減、「無料公衆無線LAN環境」は同7.7%減となったほか、新たに調査項目に追加され「ゴミ箱の少なさ」が、23.4%と旅行中困ったことの第1位となっている。

※観光庁「訪日外国人旅行者の「困った」が減少!一方、地方部の受入環境には課題も~受入環境整備の促進に向けて、訪日外国人旅行者を対象に、訪問地ごとの状況についてアンケート調査を実施~」2020年3月19日