インド東部で続く「魔女狩り」の知られざる実態

無実の女性をやり玉に挙げ、暴行・殺害する「魔女狩り」の風習が、インドの一部地域に色濃く残る。一方的に「魔女」と宣言された若い女性が2時間にわたり腹部を蹴られたり、老婆が身内によって血まみれで惨殺されたりと、痛ましい事件が続く。

頭に物を載せて運ぶインドの女性
写真=iStock.com/ajiravan
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ニューヨーク・タイムズ紙は、2021年までの12年間で1500人以上が殺害されたと報じている。

医療システムの届かない村では、疫病や災害が発生した際、人々はその原因を「魔女」に求める場合がある。家父長制の色濃い地域社会のなかで、立場の弱い女性に悪意が向かう。

昔ながらの呪術的な性格に加え、現代では黒魔術信仰の形を借り、私怨しえんを晴らす口実にもなっている。なかには村の名家が地位を悪用し、性的行為の誘いを断った女性を魔女として吊り上げる事件が発生している。

村の有力者に恨まれ、26歳女性は「魔女」になった

東部ジャールカンド州では、26歳女性が魔女と呼ばれ暴行を受けた。ニューヨーク・タイムズ紙が報じている。

女性は村の名家の一族によって家に連れ込まれ、激しい暴行を受けたという。戸口に立った女から「お前は魔女だ」と身に覚えのない罵声を浴びせられたのを皮切りに、腹、胸、顔などあらゆる箇所に、パンチやキック、ビンタの嵐が飛んだ。女のほか、首謀者の男性ら3人が暴行に加わった。