小選挙区で敗北した「比例復活議員」の問題

実際、政党としては所属議員が離党した後は、いかなる制裁も実質的に与えることができない。こうした問題は今回の秋本氏に限らない。記憶に新しいところでは、2022年6月に不祥事で離党するまで自民党の総裁派閥である岸田派に属していた吉川赳衆院議員の例が挙げられる。吉川氏は2021年の衆院選静岡5区で細野豪志氏に敗北し、東海ブロックで比例復活当選しており、秋本氏と同じく比例復活議員である。

秋本氏は2021年衆院選において、立憲民主党の奥野総一郎氏に千葉9区で敗北し、比例復活で当選した。このことが、「離党だけでは不十分」と批判される理由の一つかもしれないが、この比例復活の議席の意味を次に考えてみたい。

というのも、衆院における比例復活当選という制度には、「重複立候補」という制度や、「惜敗率」という数字が関係してくるからだ。端的に言ってしまえば、比例単独の場合とは異なり、比例復活当選の議員の議席は「政党」の議席なのか、「個人」の議席なのかという問題が立ち現れてくる。

投票
写真=iStock.com/bizoo_n
※写真はイメージです

議席は「政党」のものか、「個人」のものか

比例区で議席を獲得するためには、第一に、「政党」の支持が一定以上ある必要がある。比例当選議員の数は、その比例ブロックでの政党に対する票の数によって算出されるからだ。

そのため、比例代表の議席は「政党」の議席であるといえる。そもそも「政党」が票を稼がなければ、当選する候補者は出ないからである。小選挙区だけではなく、比例区においても重複立候補する候補者にとっては、この議席は「政党」の議席という意味がある。

しかしながら、第二には、重複立候補した候補者「個人」が、しっかりと小選挙区でも「個人」の票を集め、惜敗率を上げておかなければならない。そうしないと、比例区における候補者「個人」の順位が上昇せず、ほかの同じ比例ブロックで重複立候補している自党の議員の後塵を拝し、比例復活当選を果たすことができなくなってしまう。

比例復活議員に関しては、政党の比例リストの上位に食い込めるように惜敗率が高いこと、つまり「個人」票を集めることが必要であるという点で、「個人」の議席という意味もある。そうなると、この比例復活の議席は、その衆院議員が離党した時には、「政党」の議席なのか、「個人」の議席なのかという、両面から考える必要がある。