大インフレ時代に必要なのは生産性の向上

世界の工場として活躍するために、日本が率先してやるべきこと。それは、生産性の向上でしょう。ここ十数年ほどずっと掲げられてきたテーマではありますが、日本人が生産性を上げることは、私自身はそんなに難しいことだとは思っていません。

そもそも、これまで日本の生産性を下げていた最大の原因はデフレです。たとえば、お店に来客が1日1人でも、10人でも固定費は変わりません。デフレで需要が低迷することで、売り上げに対する費用の割合が高く、それが必要以上に日本の生産性を低く見せていました。デフレが終わり、インフレになるだけでこの問題は大部分解決します。

しかし、問題はその先です。

たとえば、私が新入社員だった1993年、銀行には携帯電話やタブレットはありませんでした。コンピュータはかろうじてありましたが、マウスもなく、使い勝手は非常に悪かった。ソフトも「一太郎」や「Lotus 1-2-3」しか入っていないし、インターネットもつながっていません。

あらゆるものは紙のやり取りで、お茶をくむためだけの一般職の女子社員が雇われるなど、非効率的な作業の連続でした。

省力化に向けたデジタル化、規制緩和も大切

でも、時代は変わりました。当時の銀行でワンフロア全員でかかりきりだった仕事も、これだけDX化が進んだ現在ならば、1人でやることは可能でしょう。AIの登場によって、人手すらも不要になるかもしれません。ところが、マスコミはマイナンバーと保険証の一本化にすら大反対している。これは本当に情けない。

人口減少と騒ぐなら、省力化に向けた努力は絶対に必要です。テクノロジーの進化がそれを大部分解決してくれるだろうと私は考えています。

もっとも、さらに生産性を上げるには、規制緩和も大切です。

自由な経済を生むには、いろんなアイデアをイノベーションに変える必要があります。

イノベーションを生んで社会を動かした人は、きちんとリターンが得られて、私有財産が得られるサイクルも必要です。これこそ、まさに自由で開かれた社会と言えるでしょう。この理念をしっかり守らず、社会主義的な規制を強化したり、増税ばかりを重ねたりするような世の中では、誰しもやる気を失います。

イノベーションを起こした人にはリターンが得られるような仕組みであれば、働く人たち自身がどんどん効率を上げようと努力します。仮に、1人で数人の高齢者を支える未来になっても、1人の収入がいまの20倍になれば何の問題もありません。人口が1%近く減っても、生産性の上昇が一桁台後半から十数%なら、カバーできます。