「第二」は高齢者対策で片脚立ちの運動も加えよう

また、ラジオ体操第2は第1を踏襲している。ともに13種目あるが、似通った動きが少なくない。一方、片脚立ちで行う運動が第2に入っている「片脚ジャンプ」しかないなど、動きのバリエーションは乏しい。

前出のアスレティックトレーナーも「片脚立ちで行うようなバランスをとりながら行う運動を入れると、高齢者の転倒防止につながると思いますね。昔よりも運動しない子供も増えているので、子供たちの運動神経向上にも役立つはずです」と話す。

国立長寿医療研究センターによると、自宅で暮らす65歳以上の方でおよそ2割、また施設に入居されている方では3割以上が1年間に転倒すると報告されている。女性は男性より転倒発生率が高く、高齢になるほど転倒率も高くなる。80歳以上では不慮の事故による死亡の3割が転倒で、交通事故(5%程度)と比べても非常に高い。

転倒の要因は、バランス、筋力などの運動機能の低下が大きい。現状のラジオ体操だけでは“トレーニング”としては不足していると思う。

そこで改善案。ラジオ体操第1は基本残しつつ、第2はバランス感覚を養い、筋力アップも期待できる新たなメニューを加えるなど、高齢者や子供たちに役立つ運動にリノベーションしていくべきではないだろうか。

朝のラジオ体操の時間をもっと有効に使おう

ラジオ体操は第1、首の運動、第2と合わせて8分ほどで終了する。朝の時間に身支度を整えて、行うにはやや物足りない内容だ。

そこでもうひとつ提案したい。朝のラジオ体操の後、希望者のみ10分ほどの「レクリエーション」(やエクササイズ)の時間を設けるのはいかがだろうか。

例えば、リズム体操(音楽に合わせて手足を動かす)、ダンス、ストレッチ、ヨガ、体幹トレーニング、ハンカチ落とし、鬼ごっこ、ケイドロ、ミニサッカー、ドッジボール、タスケ(3歩ドッジボール)など。参加人数や会場にフィットした種目を(できれば複数)行うのだ。子供から大人まで、各自ができるものに参加する。

公園でヨガのポーズをとる女性たち
写真=iStock.com/Sabrina Bracher
※写真はイメージです

筆者が住む都内エリアでは朝のラジオ体操に100~200人が常時参加している。場所は中学校のグラウンドなので、さまざまな遊びやエクササイズが可能になる。

夏休みに行われる「朝のラジオ体操」は親子で参加できるイベントで、地域住民と交流できるチャンスでもある。

ラジオ体操は一斉に行うが、終われば、他人とコミュニケーションをとることなく解散してしまう。それはもったいない。希望者だけでもレクリエーションに参加するだけで、近隣の知り合いが増加。交流の輪は地域の安全にもつながるはずだ。

ラジオ体操に参加してスタンプを一定以上集めると最終日にご褒美がある。筆者の地域は3回以上の出席で500円分の図書カードがプレゼントされた。

ラジオ体操のスタンプカード
写真=iStock.com/taka4332
※写真はイメージです

このご褒美を目的に、しかたないから参加するのではなく、レクリエーションを楽しく感じることができれば、夏休みの早起きも苦ではなくなるはず。子供たちの夏休みは生活リズムが乱れがちだが、早起きの習慣が維持しやすくなるだろう。

文化的な面を考えても、夏休みのラジオ体操は今後も継承していくべきものだ。ラジオ体操に行くのが楽しくなって、運動神経も良くなって、地域交流もできる。日本伝統の朝活、一粒で何度もおいしいものに作り変えていくことを考えていただきたい。

【関連記事】
【関連記事】「JRの安全安心なレールから自ら降りた」プロ野球選手未満の"会社員"が34歳で投資会社に転職し大成功のワケ
イスから片足で立ち上がって3秒キープできるか…65歳で全身が老化する人、90歳になっても元気な人の違い
なぜ「体育の授業で運動が嫌いになった」「大人になってスポーツが楽しい」という人がこれほど多いのか?
「夜中に尿意で目が覚める」は早死のサイン…専門医が指摘する"寿命とトイレ"の知られざる関係
「10万人の胃腸を診た専門医が警鐘」日本人の約5割が毎朝食べている胃腸に最悪の"ある食べ物"