ようやく眠ったかと思ったら、また練習が始まる

少しでもエナジーを蓄えるために、食べ物を胃に押し込んだら、夜練の1時間半はバチバチのフルコンタクトだ。僕たちフォワードは、敵味方に分かれて、ひたすらモールとラックを繰り返しボールを奪い合う“モールゲーム”をする。

一日の全工程が終了するのは21時過ぎだ。

クールダウンしてお風呂に入り、軽く夜食を食べ終えるともう力は残っていない。ベッドに倒れ込む。

だが、今度は寝られない。すぐにでも寝たいのに、眠ることができない。

夜練で激しい練習をした直後なので、体中の筋肉が熱を持ってしまっているからだ。なかなか寝付けないまま、目をつぶっているうちに気づくと空が明るくなっている。

そしてまた、8時からの全力のぶつかり合いが待っている。

フィールドで走っている若いラグビー選手のグループ
写真=iStock.com/PeopleImages
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チーム全員が“狂気”を感じた持久力テスト

中でも最も僕が……いや、チームの全員が“狂気”を感じたメニューが“Yo-Yoテスト”と呼ばれる持久力のテストだ。

ラグビーだけでなくサッカーやバスケットボールなど、世界中のスポーツ・シーンで行われているスタンダードなテストで、10秒のインターバルを挟みながら決められたタイム内での20メートル走を延々繰り返す、というもの。回数を重ねるごとにだんだん短くなっていく制限時間に2度遅れたらそこで終了。終了した選手から抜けていく。つまり、長く残れれば残れるほど、持久力、回復力が優れている選手という判定になる。

このテストの憎いところは、体力、フィットネス能力の低い選手のほうが先に体力をすべて使い果たしてしまうので早く終われるという点だ。逆に、フィットネス能力が高い選手ほど、力を出し切るまで、自分の体力が尽きて空っぽになるまで、長時間全力で走り続けることになる。

フォワードの中ではフィジカルの能力が一番高いのは“ラピース”ピーター・ラピース・ラブスカフニだ。ラピースは本当にフィジカルモンスターで、ウェイトトレーニングだと彼と僕は同じくらいだが、フィットネスでは彼が1番、僕は2番という位置付けだろうか。

だから、Yo-Yoテストになると、僕やラピースは20分も30分も走り続けることになる。

終わりが見えないものが一番しんどい。

どんなに厳しいトレーニングでも「ここまでいったらOK」「そこで終わり」というゴールや数値があれば、人は誰でもそれを目指して頑張れるものだ。

だが、このテストにはそれがない。

終わりが決められていない中で全力を出し続けなければいけないのは、メンタルも激し
く消耗していく。もはや“無間地獄”だ。